かつてフェラーリに所属していたことがある元F1ドライバーのジャン・アレジとアラン・プロストが、フェラーリが先週末のF1モナコGPで意図的にキミ・ライコネンを不利な状況に置いたとは考えられないと語った。
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■モナコのベッテル逆転劇はチームが仕組んだ?
今季のF1第6戦モナコGPでポールポジションを獲得したのはキミ・ライコネンだった。そして決勝でも前半はライコネンが先頭で集団をコントロールしていた。
しかし、ライコネンが先にピットインした間に2番グリッドからスタートしたセバスチャン・ベッテルが猛然とペースを上げて数周遅れてピットイン。そしてライコネンよりも前でコースに復帰し、そこで2人の順位が入れ替わっていた。
F1関係者の中には、フェラーリがドライバーズランキングトップに位置しているベッテルをタイトル獲得に向けてさらに有利な位置に置こうと、意図的にベッテルが前に出られるようにライコネンが不利となるピット戦略を行ったのではないかと疑惑の目を向けている者もいる。
■チームオーダーは出さないとフェラーリのボス
もちろん、フェラーリはこうした推測を否定している。チーム代表のマウリツィオ・アリバベーネは次のように主張した。
「キミはフェラーリのためだけに走っているわけではない。彼だってレースに勝ちたいんだ」
「どちらも素晴らしいドライバーだ。だからもう一度強調しておくが、フェラーリがチームオーダーを出すことはない」
■あの勝負はコース上で決まったのだとアレジ
かつてフェラーリに所属していたアレジも、今回の件は意図的に行われたものではないと考えている。
「私もキミが失望していることは理解できるよ。彼は素晴らしい週末を送っていたからね」
母国フランスのテレビ局『Canal Plus(カナル・プリュ)』にそう語ったアレジは、次のように続けた。
「だが、ベッテルが明らかな差をつけて勝利した。これはローラン・ギャロス(テニスの全仏オープン)を思い起こさせるよ。どちらかが勝利したとき、もうひとりは常に満足などできない。だけど、すべてはコース上で決まったんだ」
「チームはひとりのドライバーをひいきしたりしていなかったし、それ以上付け加えることはないよ」
■フェラーリにはナンバー1は必要ないとプロスト
アレジと同じフランス出身の元F1ドライバーであり、1991年にはフェラーリでアレジとコンビを組んで戦った経験を持つアラン・プロストも次のようにコメントしている。
「フェラーリがモナコでどんな走りを見せるのかは分からなかった。特に、長いホイールベースを持つメルセデスAMGと比べてどうなのか、それに、非常にいいパフォーマンスを見せるレッドブルとの比較においてもね」
「今ではその答えが得られたよ。フェラーリはどこでも強いということだ。彼らには素晴らしいシャシーがあり、2人の素晴らしいドライバーがいる。どちらのドライバーもトップを走る力がある。キミ・ライコネンの方もね。だから、私はあのチームにナンバー1ドライバーがいるとは信じていないよ」
現役時代に4度F1王座についた経験を持つプロストはそう語ると、次のように付け加えた。
「私は、とりあえずセバスチャンの方がわずかに上だと言っておこう。彼は非常に一貫性があるし、今後も彼を倒すのは非常に難しいだろうね」