最近、2013年までメルセデスAMGのチーム代表を務めていたロス・ブラウンがF1界に復帰し、バーニー・エクレストンの後任としてF1最高責任者の職に就くのではないかとの報道が行われている。だが、エクレストン本人がそうした推測を否定する動きに出た。
最近、F1の新オーナーとなったリバティ・メディアが、エンジニアやチーム代表として素晴らしい経歴を残してきたブラウンを現在エクレストンが努めているF1最高責任者の後任候補として考えているようだとのうわさが強くささやかれている。
これに対し、61歳のブラウン本人は、現時点では少しばかりリバティ・メディアに対して“コンサルティング”を行っているだけだと語り、今後どうなるかはすべて10月末に86歳になったばかりのエクレストン次第だとの説明を行っている。
■F1ボスの座から降りるつもりはないとエクレストン
これに関し、エクレストンはドイツの『Bild(ビルト)』に次のように語った。
「私はこれからもボスとしてとどまる。これが変わることはないよ」
「私は誰に対しても、すべてがこれまで通りだと確約できるよ」
■少なくとも2020年まで大きな変化は起こせない
しかし、新オーナーのリバティ・メディアは、長年にわたってCVCが筆頭株主として君臨してきた時代とは違うF1を作りあげていきたいと考えており、その将来構想の中にエクレストンは含まれていないようだともうわさされてきている。
だが、この件についても、エクレストンは次のような説明を行っている。
「ものすごく単純な話だよ。コンコルド協定は2020年まで有効なんだ。それまではチームやルールは変えることも変わることもできないのだ」
コンコルド協定とは、F1チーム、統括団体FIA(国際自動車連盟)、F1運営会社(エクレストン率いるFOM)の3者間で結ばれる協定。F1の商業権や運営方法、利益分配などが規定されており、内容は原則非公開となっている。
「もちろん、株主が変えていくことは可能だ。新オーナーはCVCよりももっと広告宣伝や商業化に力を入れていくことになるだろう」とエクレストンは付け加えた。
■譲渡手続きが完了するまでは自分がトップ
だが、エクレストンはまだ買収プロセスが完全に終わっていない段階においてリバティ・メディアが大きな変革を開始することは無理だとスペインの『Marca(マルカ)』に次のように語った。
「彼らがこの会社を動かしているわけじゃない。彼らは会社の10パーセントを所有しているが、しばらくの間は私がまだCEO(最高経営責任者)だ」
「会社はこれまでと変わらず、同じだよ」
「もしリバティが支配権を手にすれば、彼らが何でもやりたいようにすることができる。会社のオーナーであれば誰もがそうできる。だが、現時点では彼らはまだオーナーではないんだ。だから彼らがやりたいようにできるわけではない」
■ブラウンに自分の後任は務まらない
エクレストンはさらに、うわさに上っているブラウンは自分の後任候補としては考えられないと次のように語った。
「彼がFIA(F1統括団体である国際自動車連盟)に行ったのであれば私もうれしかっただろう。だが、現時点では我々のために彼ができることは何もないよ。我々にエンジニアは必要ではない。それも。ロスほどの技術を持つ人材はね」
「私はもう長いこと彼とは話をしていない。彼がどうするつもりなのか全然分からないよ」
だが、ブラウンが「新たなエクレストン」になるだろうと言われている最近の報道について質問されたエクレストンは、『Bild(ビルト)』に次のように答えた。
「これは全くナンセンスだよ」