元F1ドライバーのヤルノ・トゥルーリが、アロンソが今年移籍したマクラーレン・ホンダですぐに成果を出すことは難しいだろうと語った。
かつてルノーでフェルナンド・アロンソのチームメートだったこともあるトゥルーリは、アロンソが昨年まで5年間在籍していたフェラーリを離脱することは避けられなかっただろうと考えている。
■アロンソとフェラーリが決別するのは当然のなりゆきだった
「フェラーリとの5年間の結婚生活を送ったものの、フェルナンドが望んでいたF1タイトル獲得という結果には結びつかなかった。そうなれば、(フェラーリとの関係に)終わりが来てもおかしくないよ」
現在はフォーミュラEにオーナードライバーとして参戦している40歳のトゥルーリは、フォーミュラE第4戦を10日(土)に控えたアルゼンチンのブエノスアイレスでスペインの『EFE通信』にそう語ると、さらに次のように続けた。
「フェルナンドとフェラーリのどちらもレースで勝利し、タイトルを獲得することを望んでいる」
「関係が終わるのは自然なことだったんだ」
だが、トゥルーリは、今年移籍したマクラーレン・ホンダでアロンソがすぐに活躍できるとも考えていない。
■現時点ではメルセデスAMG以外に勝てるチームはない
「フェルナンドはマクラーレンに移籍したものの、残念ながら、それがアロンソにとってフェラーリよりもいい選択肢だったようには思えないんだ。現時点では、メルセデスAMG以上の選択肢はないからね」
「選択肢はすごく少なくなっている。なぜならF1は劇的にパフォーマンスが低くなったことに苦しめられているからね。予算はものすごく大きくなっている反面、経済情勢は冷え込んでいるから、エンジンやクルマの開発ができるだけの余裕があるチームはごくわずかになっている」
「そのために選択肢も非常に少なくなっている。それが、今アロンソが置かれている状況なんだ」
■マクラーレン・ホンダもすぐに力を発揮することは難しいだろうとトゥルーリ
「難しい状況だし、彼にとっても受け入れがたいものだ。だって、彼が勝利を得るために戦いたいと思っていることは間違いないからね。でも、今年はマクラーレンでも厳しいシーズンを送ることになると思うよ」
「僕はそうなることを期待しているわけではないけれど、あまりうまくいきそうにはなさそうだね」
トゥルーリは、今年マクラーレンにエンジンを供給するホンダが、エンジン開発凍結緩和の対象外とされる可能性があることも大きな問題だと認め、次のように付け加えた。
「現時点では、フェルナンドにとって唯一いいことがあるとすれば、それは大きな報酬が得られるということだと思うよ。技術的に、マクラーレンがほかのトップチームたちと争えるようにはならないと思うんだ」
しかし、かつてトヨタF1チームのドライバーを務めていたこともあるトゥルーリは、アロンソがフェラーリを去る決断をしたことをそれほど後悔することはないだろうと考えている。
■フェラーリの苦戦も当分続くはず
「彼ら(フェラーリ)にとっては困難な時期が続いていた。人材を変えたり、誤った判断をしたりしてきた。彼らはルール変更を自分たちに有利に利用できなかったし、技術的にも差をつけられてしまった。そして、最近まで、政治的な問題も抱えていたからね」
「今は、少なくとも彼らは政治的にはうまく動いてエンジン開発凍結を免れることになった。だけど、一番の問題は、技術的な問題に関して完全に方向転換しなくてはならないということだ」
「それは1日でできることじゃない。1年でも無理だろう。長い時間が必要になるよ」
そういった状況をふまえれば、2015年もメルセデスAMGが圧倒的な強さでF1を支配することになるだろうとトゥルーリは次のように締めくくった。
「彼ら(メルセデスAMG)はものすごく大きなアドバンテージを持っているし、ほかのチームが追いつけるとは思えないんだ。昨年も、彼らにはもっと余力があったように思うよ」