気がつけば、F1のトップ選手三人が「シリー・シーズン」と呼ばれるドライバー移籍市場に顔を揃えていた。皮肉なことに、近年まれにみる活況だ。
わずか数日前のF1第15戦日本GP終了時には、セバスチャン・ベッテル(レッドブル)が来季フェラーリ入り、フェラーリを抜けるフェルナンド・アロンソはマクラーレンに移るものと思われた。
ところが三人めのドライバーが現れ、話はややこしくなる。ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)だ。
うわさでは、最近ハミルトンは英ウォーキングに本拠を構える古巣マクラーレンを訪れたという。そこでメルセデスAMG脱退について話し合ったか、あるいはそれを決めたらしいのだ。
もちろんマクラーレンは否定する。
「鈴鹿サーキットでロン・デニスが述べたように、マクラーレンは2015年の契約についてどのドライバーとも交渉に入っていない」と、チームの広報は9日(木)、イタリアのマスコミに語った。
だが仮にハミルトンがマクラーレンに復帰するなら、アロンソに強豪メルセデスAMG入りの道が開けると考えるのが自然だ。
「F1は今が興味深い時期ではあるよね」と、ハミルトンは9日(木)にソチで話していた。
「ドライバーがチームを替えるという。トップドライバーも含めてね。だが多くは作り話だ。バカバカしい話が回りまわっている」
「だれがそんな与太話を広めたにせよ、以前からいっているように僕はここ(メルセデスAMG)で仕事をするだけだ」
「僕は13才からメルセデスの世話になっているので、居心地がいい。同時にF1ビジネスがどんなものかも知っている。人々がいろいろ横やりを入れようとするのもね」
いずれにしろ、今の状況からは目が離せない。二ヶ月後、ハミルトン、アロンソ、ディフェンディングチャンピオンのベッテルが何色のレーシングスーツを着るのか、誰もはっきりと分からないのだ。
去年までアロンソのチームメートだったフェリペ・マッサ(ウィリアムズ)は先週、鈴鹿でアロンソをからかっていた。あるインタビューに割って入り、アロンソに質問を投げたのだ。「お前マルシャに行くんだって?それともケータハム?」
その後マッサは、アロンソが虎視たんたんとメルセデスAMGのシートを狙っているのは明らかだと語っていた。
アロンソはことば少なだ。ただ、9日(木)にソチで次のようにコメントしている。「すべては計画通りに進んでいる。僕はリラックスしているよ。でも今いちばんに考えているのは、ジュール・ビアンキ(マルシャ)のことだ」