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ハイドフェルドが語るフォーミュラEとF1

2014年09月17日(水)7:28 am

満を持してスタートした電動マシンのシリーズ、フォーミュラEの評判がF1パドック内で芳しくない。そこで、同シリーズに参戦するニック・ハイドフェルドが擁護に乗り出した。

フォーミュラEは先週末、オールスター級のドライバーを集め、全世界が注目するなか、北京の公道コースを舞台に初戦が行われた。ところが現F1世界王者セバスチャン・ベッテル(レッドブル)は最近、これを「チーズ(ニセもの、まやかし)」と呼んでこき下ろした。

ベッテル同様、ドイツ人のハイドフェルドもF1出走185戦、表彰台13回の実力者。フォーミュラEでは自他ともに認める中心選手である。ところが開幕戦の最終ラップ、先頭を走るニコラ・プロストから順位を奪おうとして派手にクラッシュした。ニコラは、F1の英雄アラン・プロストを父に持つ二世ドライバーだ。

ベッテルは、あくまでフォーミュラEに手厳しい。「僕は(フォーミュラEが)好きじゃない。テレビ視聴者の立場から、興味がわかないんだ」

■ハイドフェルドのいい分

俳優のレオナルド・ディカプリオが共同オーナーとして名を連ねるチームからエントリーしている、ハイドフェルド。ベッテルの上記コメントについてドイツ語のスポーツ情報サイト『Spox(スポックス)』にきかれると、彼は次のように答えた。

「セバスチャン(ベッテル)という人間は好きだが、彼がどのような脈略で発言をしたのか分からないな」と、37才のハイドフェルド。

「フォーミュラEとF1は比較のしようがない。フォーミュラEにとっては、むしろ比べてほしくないぐらいだ。両選手権はコンセプトがまったく違うからね」

「でも、電気自動車の発達やメーカーの関心の高さを考えると、フォーミュラEはれっきとしたシリーズさ。ただ、人気のほどを知るには時間が必要だ」

「最近はF1でさえ否定的な見出しが目立つが、それでもモータースポーツの頂点だ。その立ち位置は長く変わらないだろう」

「しかし、だからといって他のシリーズが存在してはいけない理由などない」と、ハイドフェルドは語る。

■フォーミュラEはF1の脅威か

今のフォーミュラEは、とりあえずF1の成功を脅かすものではないといわれる。マシンの速度が違うからだ。

『Spox(スポックス)』は記事中、フォーミュラEをみるとラップタイムはF1より「むしろF3」級だとしている。

「F1に比べて性能は地味だね」と、ハイドフェルドもいう。

「予選の馬力は、ほぼ300bhp。マシン重量は900キロある。それに、僕らが使っているミシュラン・タイヤは、スリックではなく溝付きだ。遅いことは遅いけれど、ドライとウェット兼用だよ」

「フォーミュラEはあくまでシングルシーターだ。性能の限界で運転するのは常に難しい」

「しかし、僕が参戦を決めた理由はもうひとつある。それは競争相手さ。ドライバーの質はF1にも胸を張れるくらいだ」

■F1の現状

ハイドフェルドの説明によると、フォーミュラEはF1と異なる傾向があるという。年々、経費が高騰を続けるF1では、多額の資金を持ち込む「ペイドライバー」が増々、勢力を伸ばしている。

「数年前と比較してみると、その差は明らかだ」と、ハイドフェルド。「今や才能だけでF1に上がるのは難しい」

「だが、チーム批判はしたくない」「彼らだって、コース上の実力だけでドライバーと契約したいに決まっている。しかし、それなりの出費が伴う」

「ほとんどのチームが経費でアップアップしているのは残念だよ。だが、もうどうしようもない」

最後に、若年化の一途をたどるF1ルーキーについて、ハイドフェルドにきいてみよう。ダニール・クビアト(トロロッソ)、マックス・フェルスタッペン(トロロッソ)、パスカル・ヴェアライン(メルセデスAMG)。いずれも十代で契約したドライバーばかりだ。

「年齢が高いドライバーほど、成熟度も経験値も上がるものだ」

「(2001年の)キミ(ライコネン)はひとつの成功例だが、それでもマックス(フェルスタッペン)より年上だった」と話すハイドフェルド。彼は当時、ライコネンと同じくザウバーに所属していた。

「F1に年齢の下限が設定されたら、よりよい、さらに安全なシリーズになるだろう。もちろん、キミのように図抜けたドライバーがいる可能性は、明らかにある。もしかしたらマックスも、そのひとりかもしれない」

「しかし、事前に予測するのは非常に難しい」と、ハイドフェルドはいうのだった。

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