元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーが、そのうちルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグのチームメート同士による戦いがさらに激しさを増すことになるだろうとメルセデスAMGに対して警告を行った。
ここまで、メルセデスAMGの2人のドライバーの関係は友好的なものだった。だが先週末のF1スペインGP(第5戦)後、その2人の間の緊張感がさらに高まりを見せてきたことは明らかだった。
スペインGPでは、4連勝を飾ったハミルトンがついにそれまでドライバーランキングのトップにいたチームメートのロズベルグをその座から引きずりおろしていた。
かつてフェラーリやマクラーレンで活躍し、伝説のドライバー、アイルトン・セナのチームメートを長く務めていたことでも知られるベルガーは、現時点ではメルセデスAMGに近づくことができるライバルがいないだけに、この2人の間の緊張関係はただ大きくなるばかりだろうと予測している。
「F1はいつも驚くようなことばかりなんだ」
そう『APA通信』に語り始めたベルガーは、次のように続けた。
「だが、今日のような状況が、これからもずっと続いていくだろうということは容易に想像できてしまう」
現在メルセデスAMGが示している圧倒的な強さについてそう語ったベルガーだが、メルセデスAMGのドライバー同士による戦いもさらに激しさを増すであろうことが予想される中、メルセデスAMGでやるべきことはこの2人をうまく管理することだと考えている。
「みんなはうまくやっているし、まだ早すぎるだろう。だが、ロズベルグとハミルトンがお互いにクラッシュするに至るまで、それほど時間はかからないだろうと思っているよ」
ベルガーは、ひとつの問題はロズベルグのほうにあるかもしれないとしている。ロズベルグが、かつて気分的にムラがあると言われていたハミルトンを、再びそういう状態に戻す必要があると考えた場合のことだ。
「多分、ハミルトンが今一番速いドライバーだろう。だが彼は非常に感情的だ。彼を不安定な状況に陥れることも可能だと思っている」
そう語ったベルガーは、さらに次のように続けた。
「ロズベルグもそれは分かっているよ。彼は、純粋なスピードではハミルトンのほうに少しだけ分があるだけに、それをどこかで補おうとうまくやるはずだ」
「ニキ(ラウダ/メルセデスAMG非常勤会長)もすぐに手を余すようになるはずだよ」
このベルガーのコメントは、おそらくラウダが今後もメルセデスAMGのドライバーに対してチームオーダーを出すことはないと明言していることに対してのものだろう。ベルガーはほほ笑みながら、次のように付け加えた。
「私はすでに彼(ラウダ)に言ったんだ。彼は今年ベビーシッターみたいになるだろうってね」
だが、ベルガーは、ここ4レースで圧倒的な強さを示しているハミルトンに対しても、このままロズベルグの反撃をかわして独走できるとは思わないほうがよいと、次のように語った。
「彼(ロズベルグ)の決意のほどとその忍耐力からみて、私はきっと彼がハミルトンには楽なレースをさせないだろうと思う」