メルセデスAMGの実質的なチーム代表であるトト・ヴォルフ(ビジネス担当エグゼクティブディレクター)が、ルイス・ハミルトンとの関係やライバルチームであるフェラーリに関することなど、最近メディアで報じられているいくつかの話題について語った。
■ハミルトンとの確執問題は?
2016年のF1最終戦アブダビGP決勝でチームからの無線指示に従わなかったとして、ルイス・ハミルトンとヴォルフとの関係が悪化したようだと報じられていた。
2016年のF1チャンピオンの座をチームメートのロズベルグに奪われてしまったハミルトンも最近、今年はメルセデスAMGとの関係がいまひとつしっくりとしていなかったとコメントしたことが報じられている。
特に、2016年シーズンを迎えるに当たってメルセデスAMGが主要な担当エンジニアやメカニックを前年までロズベルグを担当していた者と入れ替えたことに不満を持っていたハミルトンは、2017年に向けてまた同じようなことが起きないことを望むとチームをけん制する発言も行っている。
この件について質問されたヴォルフは、イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』に次のように答えた。
「これはもう済んだ話だよ。彼もなぜ我々があのやり方をとったのかについては理解しているし、私も心理的な観点からは彼の言い分も理解している」
■フェラーリの抱える問題をどう分析?
さらに、話題はフェラーリの件にも及んだ。
フェラーリでは今シーズン途中にテクニカルディレクターの座にあったジェームス・アリソンがチームを離脱している。アリソン離脱に関しては、妻が突然亡くなったことで子供たちのいる母国イギリスに戻りたいという本人の意向も強かったと報じられている。
フェラーリはアリソン離脱後にそれまでパワーユニット責任者を務めていたイタリア人技術者のマッティア・ビノットを後任の技術トップに据えている。だが、F1関係者の中にはフェラーリはもっと外部から優秀な人材を獲得すべきだとの意見を持つ者も少なくない。
だが、ヴォルフはライバルチームであるフェラーリのセルジオ・マルキオンネ会長やチーム代表のマウリツィオ・アリバベーネには自分たちの考え方ややり方があり、それを尊重すべきだと次のように語った。
「彼らはイタリアのチームであることを重視しているんだ。私としては、それはブレーキではなく、付加価値になるものだと思っている」
「私は、マルキオンネとアリバベーネが行った判断は正しい方向へ向かっていると確信しているよ」
そう語ったヴォルフだが、フェラーリを離脱したアリソンが、ウィリアムズへの移籍がうわさされているパディ・ロウ(技術担当エグゼクティブディレクター)の後任としてメルセデスAMGに加入することになるのではないかとの推測もささやかれている。
■ロッシやオジェがメルセデスAMGのドライバーに?
一方、メルセデスAMGでは、世界最高峰の2輪レースシリーズであるロードレース世界選手権で合計9度チャンピオンに輝いたバレンティーノ・ロッシや、WRC(世界ラリー選手権)で2013年から今季まで4年連続チャンピオンとなったセバスチャン・オジェにF1カーでテスト走行を行うチャンスを与える計画をしている。
これに関して、ヴォルフは次のように語った。
「私は、F1はショーであることも分かっている。私は本当にロッシやオジェが我々のクルマでどういう力を見せるか、テストをしたいと思っているんだ。そう、私は彼らと日程調整したいと考えているよ」
仮にそのテストが行われたとしても、フォーミュラカーでのレース経験がない37歳のロッシや33歳のオジェが本当にF1デビューを飾るとは考えにくいが、大きな話題作りとなるのは間違いないだろう。
■将来的にシューマッハJr.が加入する可能性は?
メルセデスAMGにとって、将来的により現実味のあるドライバー候補として挙げられるのは、かつて7度F1王座に就き、2010年から3年間メルセデスAMGで走ったミハエル・シューマッハの息子であるミック・シューマッハかもしれない。2015年から2年間F4シリーズで戦ったミックは、2017年にはF3へステップアップすることが決まっている。
「ミックはすごくいいやつだし、素晴らしいパイロットだ。彼の心の中にはいつも家族がいる。だが、今はF3に集中するほうがいいだろうね」
そう語ったヴォルフは、次のように付け加えた。
「彼がうまくやれれば多くのチームが彼に目を付けるだろうし、それはメルセデスAMGも同じだと思うよ」