マクラーレンのチーム代表を務めるアンドレアス・ザイドルは、F1ではいわゆる“Bチーム”を認めるべきでないと考えている。
本来、F1チームは独自にマシンの開発を行うことが原則となっている。だが、近年ではそのルールがかなり緩和されてきており、エンジンやギアボックス以外にも特定のパーツ類を“技術提携契約”を結んでいるほかのチームから購入することも認められるようになっている。
実際のところ、アメリカンF1チームであるハースは、フェラーリと強力な技術提携契約を結んでおり、現在ハースのマシンはイタリアのマラネロにあるフェラーリの敷地内に設けられた専用施設で開発が行われている。
もちろん、フェラーリとハースは現在のF1レギュレーションが定める範囲での技術提携を行っており、決してルールに違反をしているわけではない。
■F1が将来どうあるべきかという問題だとザイドル
しかし、ドイツ出身のザイドルは、こうしたあり方には問題があると考えているようだ。ザイドルは、フェラーリとの技術提携関係を強化したことで今季大きくパフォーマンスを向上したハースに言及しながらスペインの『AS』紙に次のように語っている。
「ハースはその結果に値するよ。なぜなら、ルールがあり、彼らはそれを順守しているのだからね」
「我々はそれについて文句を言っているわけではないよ」
「しかし、これは原則の問題であり、F1が将来どうあるべきかという問題なんだ」
「マシンの性能に関わることはすべて、それぞれのチームによって行われるべきだよ」
■適切な監視ができないものはすべて禁止するべき
かつてWEC(世界耐久選手権)を席巻したポルシェチームを率いていたザイドルは、現在のF1のルールではライバルに差をつけたいと考えるチームには「セカンドチームが必要となるかもしれない」と懸念している。
「それにより、Bチームがより少ない労力でよりよいパフォーマンスを発揮できるようになる。そして、それによってAチームが利益を得ることがさらに懸念されることになる」
そう語ったザイドルは、共有できるのはギアボックスとエンジンだけとし、風洞のようなインフラの共同利用などは禁止するべきだと主張し、次のように付け加えた。
「適切な監視ができないものはすべて禁止するべきだ」
今季からアルピーヌのチーム代表を務めているオットマー・サフナウアーも、F1において、本来はライバルであるべきチーム同士が緊密な技術提携関係を築くことが許されていること自体が問題だと考えている。
「一緒にコーヒーを飲みに行って、アイデアを共有することができるんだ」
そう語った57歳のサフナウアーは次のように付け加えた。
「新しいフロアの調子はどうだ? とか、あれはやめた方がいい。うまくいかないよ、とかね」