フランスを代表する自動車メーカーであるルノーのルカ・デ・メオCEOが、F1新チーム設立を目指すアンドレッティ・オートスポーツと提携したことを明らかにした。
■F1参戦を目指すアメリカのアンドレッティ
アンドレッティ・オートスポーツを率いる元F1ドライバーでもあるマイケル・アンドレッティは昨年、現在アルファロメオというチーム名で戦っているザウバーの買収に動いたものの、その交渉は不調に終わっていた。
アンドレッティはその後、自分たちで新たなF1チームを立ち上げる方針に切り替え、F1や統括団体であるFIA(国際自動車連盟)に正式に参戦申請を行っている。
■ルノーがアンドレッティのエンジンパートナーに?
現時点ではFIAとF1オーナーであるリバティ・メディアはその申請を承認していないものの、ルノーはもしアンドレッティが認可を受けた場合にはエンジンを供給する契約を結んだようだ。
「これに携わっているのは私ではなく、ローラン・ロッシなんだ」
ルノーのF1ワークスチームであるアルピーヌでチーム代表を務めるロッシの名前をあげながらそう語ったデ・メオは、『f1only.fr』に次のように続けた。
「しかし、議論は行われていると思う」
「興味深いものだよ。なぜなら、その背後には素晴らしいプロジェクトがあり、資産を持つ有能な人々がいるわけだから、F1にとってよいものになり得るからね」
■新たなエンジン供給先を探すルノー
現時点ではF1には4つのエンジンメーカーが存在するが、そのうちメルセデス、フェラーリ、そしてホンダ系のレッドブル・パワートレインズはそれぞれ複数のチームにエンジンを供給している。
唯一の例外はルノーだ。現在ルノーエンジンで戦っているのはアルピーヌだけとなっている。
「明らかに、現在の状況にあっては、我々はどこかと一緒にやる可能性を模索しているところだ」とデ・メオ。
「かつてはレッドブルとマクラーレンにエンジンを売っていたが、今はそうではなくなっているからね」
■F1に“Bチーム”が増えるのは好ましくない
しかし、デ・メオは、アンドレッティのチームをルノーの“Bチーム”にすることが本当の目的ではないと示唆している。
「私は必ずしもこのアイデアの大ファンではないんだ」
「F1には、AからZまで全ての仕事をする10チームがいることがふさわしいと私は思っている」
そう語ったデ・メオは、F1にビッグチームのBチームが増えていくことは好ましいことではないと次のように続けた。
「それは、バルセロナA、バルセロナB、バルセロナC、レアル・マドリード1、レアル・マドリード2がいる(サッカーの)スペインリーグのようなものになるだろう。(サッカークラブの)アトレティコも存在しないだろうし、それは私のビジョンではないよ」
「もし、そのようなシステムだとしたら、それは誰かにとって都合のいいシステムだからだと私は思うよ」
■アウディとポルシェの参入はF1にとっていいこと
それゆえ、デ・メオは2026年に予定されているF1エンジンレギュレーションの変更を支持しているという。その新たなエンジンレギュレーションの導入に合わせてフォルクスワーゲン傘下にあるアウディとポルシェがF1に参入するのはほぼ確実だと考えられている。
「いいことだよ。もちろん、いいことだ。このスポーツにとっても、ファンにとってもいいことだ」
そう語り、アウディとポルシェの参入を歓迎するとした54歳のデ・メオは、次のように付け加えた。
「私は自動車産業の人間だし、大手自動車メーカーがそう信じているのを見るのはうれしい限りだ。しかし、それはうまく機能する経済的な方程式があり、妥当な予算で行われる場合だけだ」
「もし、コストが爆発的に増加するならば、我々はもはや運営することはできないし、それはビジネスにとって悪いことだよ」