NEXT...F1開催スケジュール

【マクラーレン】スリックタイヤにこだわったノリスをチーム代表が擁護

2021年09月27日(月)19:37 pm

マクラーレンのチーム代表を務めるアンドレアス・ザイドルが、先週末にソチ・オートドロームで開催された今季のF1第15戦ロシアGPで優勝を逃したのはドライバーのランド・ノリスの判断ミスによるものだけではなかったと主張した。

●【2021年F1第15戦ロシアGP】決勝レース結果のタイム差、周回数、ピット回数

今年のソチでポールポジションを獲得したのはノリスだった。ノリスにとってはこれがF1での初ポールであり、26日(日)に行われた決勝ではその勢いに乗って初優勝を目指していた。

ノリスは、その決勝開始直後に2番グリッドからスタートしたカルロス・サインツ(フェラーリ)にポジションを奪われるものの、その後サインツを抜き返してトップに返り咲くとレース終盤まで安定した走行を続け、その位置をキープしていた。

だが、レースの残り周回数がわずかとなってきたところで、序盤は苦しいレース展開を強いられていたルイス・ハミルトン(メルセデス)が底力を見せて背後に迫ってきた。

そしてその時、ソチ・オートドロームの上空に雨雲がさしかかり、雨粒が落ち始めてきたのだ。

雨脚がどんどん強まる中、マクラーレンは無線でノリスにピットインして雨用タイヤに履き替えるよう伝えるが、21歳の若きイギリス人ドライバーは何度も「ノー!」、「うるさい!」と答えていた。

一方、ほかの上位勢は、ハミルトンも含め、雨用タイヤを装着するために続々とピットに向かった。そしてノリスがスリックタイヤで走り続ける間に雨は一気に強さを増してしまい、ノリスはまともにマシンをコントロールすることができない状況に陥ってしまい、次々に後続車に追い抜かれてしまった。

最終的に7位でロシアGP決勝を終えたノリスだが、レース後しばらくしてメディアの前に姿を見せると次のように語った。

「その時自分が持っていた情報をもとに、僕がスリックタイヤで行くことを決断したんだ」

「それは正しい判断だったんだ。理由はともかく、僕たちはさらに雨が強くなるとは考えていなかったんだ。そしてすぐ後ろにライバルがいたし、ああいうミスはゆるされないよ」

しかし、その時のマクラーレンの無線交信などを考えれば、前日の予選でもまだ路面が滑りやすい状況だったにもかかわらずスリックタイヤで初ポールを獲得していたノリスだけに、自分の力を過信していたのではないかと考えている者もいるようだ。

こうした中、ノリスがマクラーレンでF1デビューを果たした2019年からマクラーレンのチーム代表を務めているザイドルはドイツの『Auto Bild(アウト・ビルト)』に次のように語った。

「最終的には、我々はランドに賭けたんだ。我々は勝つも負けるも一緒だからね」

前戦イタリアGPではダニエル・リカルドが優勝したとは言え、まだ常に勝利を狙うことが可能とはなっていないマクラーレンと、まだ若いノリスのコンビネーションがうまく機能しなかったことが今回の結果につながったようにも見えなくはない。

ノリスとは逆に、チームからピットインを指示されるとすぐにそれに従い、結果として2位表彰台を手にすることができたマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は次のように語っている。

「ああいう状況においては、チームとドライバーのコミュニケーションがものすごく大切なんだ」

ザイドルも、チームとしてもっとうまくあの状況に対処することも可能だったかもしれないと認め、次のように続けた。

「ランドにはいい感触もあったし、スリックで走り続けたかったんだ。我々はチームとして彼の意見を覆さなかったし、そのことを分析しなくてはならないね」

「結果を見れば、もちろんあれは誤った判断だった。彼がすべての情報を持っているわけではないこともわかっているし、我々にはドライバーの意見を覆すという選択肢も常にある」

「もし我々が彼に“入ってこい”と言っていたら、彼は入ってきていただろう」

ザイドルは、最も大切なことは、ノリスとマクラーレンがこうした状況から学ぶことでさらに強くなっていくことだと主張している。

「最も学ぶことができるのはこういう時なんだ」とザイドル。

「我々とランドはこのスポーツを長くやっているし、こういうことが起きることもあるのは知っているよ」

実際のところ、ノリスとマクラーレンの判断ミスによってハミルトンにF1通算100勝目が転がり込んできた形となったメルセデスだが、チームCEOのトト・ヴォルフは、今回の件でノリスやマクラーレンを責めるのは酷だと考えている。

「我々は天候が悪化していくことがわかっていた。だからバルテリ(ボッタス)を早めに(ピット)ストップさせたんだ。そして我々の戦略担当者はルイスも同様に入れるべきだと主張していた」

そう語ったヴォルフは次のように付け加えた。

「マクラーレンにとっては決断が難しかったのは理解できるよ。レースリーダーにとって、あとできるのは負けることだけだからね。今日は我々の思うつぼだったよ」

前後の記事
最新ニュースをもっと見る  >
TopNewsの最新ニュースが読めるよ!
facebookフォロー Twitterフォロー RSSでチェック