バクーで開催される今季のF1第6戦アゼルバイジャンGP(6月6日決勝)においてレッドブルの“曲がるウイング”に対して正式抗議する可能性を示唆しているメルセデスだが、チーム代表のトト・ヴォルフは先週末に行われたモナコGPでマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が勝ったのはそのリアウイングによるものではなかったと語った。
レッドブルを始め、一部のチームが高速走行時に大きくたわむ性質を持つ「フレキシブルウイング」を使用している可能性があると考えられており、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)は今後さらに厳しい負荷検査を行うことを明らかにしている。
だが、FIAがその検査を実施できるのは第7戦フランスGP(6月20日決勝)からになると考えられており、アゼルバイジャンGPではどのチームも現在使用しているリアウイングをそのまま使うことが可能となる。
そして、長いストレートが特徴となるバクーの市街地サーキットでは、そのウイングを使用することでレッドブルのアドバンテージが大きくなると考えられている。メルセデスがバクーで抗議を行う可能性があると警鐘を鳴らしているのはそのためだ。
しかし、レッドブルもこの件に関しては反撃に転じている。レッドブルは先週末のモナコにおいて、映像を分析した結果メルセデスF1マシンのフロントウイングも大きくたわむことが分かったとの主張を行った。
これに対し、ヴォルフはドイツのテレビ局『RTL』に次のように語っている。
「我々の分析によれば、レッドブルのフロントウイングも全く同じように曲がっている。だから、我々はお互いに抗議することもできるだろう」
「はっきりしているのは、彼らのリアウイングは必要以上に曲がっており、それはルールには適合していないと判断されたということだ」
だがヴォルフは、先週末のモナコGPの結果に対して疑念を抱いているわけではないとも語っている。
モナコGPで優勝を遂げたフェルスタッペンは、そのレースで7位に沈んだルイス・ハミルトン(メルセデス)に4ポイント差を付けてランキングのトップに立っている。
「実際のところ、今はリアウイングに関する話をする時ではないよ。彼ら(レッドブル)はここで自力で勝利したんだ」
モナコを発つ前にそう語ったヴォルフは次のように付け加えている。
「レッドブルのパフォーマンスにリアウイングは何の関係もなかった。彼らの方がよかっただけだ。我々はそれを受け入れ、彼らの勝利を祝福しなくてはならない」