NEXT...F1開催スケジュール

【F1】新型コロナウイルス脅威の中、なぜF1はすぐに中止を発表できないのか?中止にできない複数の理由

2020年03月13日(金)2:30 am

日本時間3月13日(金)10時に開幕する予定のF1開幕戦オーストラリアGPだが、新型コロナウイルス(COVID-19)の懸念により開催可否について深夜までミーティングが続けられ、開幕まで8時間を切っても正式決定は出されていない。

他のスポーツは早々にキャンセルや延期を決定しているが、なぜF1はこれほどまでに開催キャンセルができないのだろうか?

マクラーレンが開幕前日の夕方、チームスタッフが新型コロナウイルスの検査で陽性だったことから、F1開幕戦オーストラリアGPを欠場すると発表。その数時間後、F1チーム代表が集まり、開催可否も含めた次のステップについて緊急会議を続けてきた。

しかし、事態が深刻にも関わらず、F1は即座にレース延期または中止を発表できないのは、F1には世界的な多くの企業が関わり、驚くほどの大金が動いているというクリアすべき大きな問題があるため、ここまで時間がかかっていると考えられる。

■F1がすぐに中止を発表できない理由

ではF1にとって、どのようなクリアすべき問題があるのだろうか?

まず、莫大な開催料をF1側に支払っている主催者(サーキット側)は、ファンへのチケットの返金や物販店の場所代の問題などが考えられる。

サーキット内の看板広告についても、開催するまで一度もテレビに映っていないのだから、イベント自体がキャンセルとなれば検討しなければならない問題だろう。

F1チーム側はスポンサーとの契約について、1戦限りや全22戦での契約、年間契約など各々違うはずだ。

世界中のテレビ局は莫大な「放映権料」をF1側に支払っており、その放映権料の一部はF1運営団体だけではなくF1チームの運営資金にも充てられている。また、当日になって放送スケジュールを変えるのは世界中の放送局にとって簡単な問題ではないだろう。そこにはF1放送向けのCM料なども関係するはずだ。

各F1チームには数百人が関わっており、莫大な運営費用がかかっている。自動車メーカー以外の小規模チームや独立系チームにとっては、当てにしていた1戦分の収入が減ってしまうと厳しい状況に追い込まれるチームもあるだろう。

F1には金融系スポンサーも多いが、株価が世界中で暴落している中、毎日多額のお金が減り続けている企業や人もいると考えると、そうしたスポンサーがF1関連に契約通りに支払うとは考えにくい。F1の歴史を振り返っても何度も未払い問題が出てきており、それによりF1から撤退せざるを得なくなったチームもあった。

もちろん、こうした不測の事態を見越して、イベント自体がキャンセルになっても返金しないなどの契約上条項があるかもしれないが、大きな損失になるため、納得できない事情がある企業が出てきてもおかしくない。つまりこの影響により存続の危機に立たされる企業や職を失う人も出てくると考えられる。

そうした世界中の関係各所と一つ一つ確認していると考えれば、すぐに「開催を中止します」と言えない大人の事情が見えてくる。それだけF1は世界規模の大きなスポーツイベントだということが言える。

しかし、最も大切なのは、関わる人の健康と安全だ。関わる人すべての安全が保証できなければ、F1というスポーツイベントは成立しないことは確かだ。

前後の記事
最新ニュースをもっと見る  >
TopNewsの最新ニュースが読めるよ!
facebookフォロー Twitterフォロー RSSでチェック