F1公式タイヤサプライヤーであるピレリは、2020年仕様F1ドライタイヤの設計思想をいったん白紙に戻すことを強いられるかもしれない。
先週末にテキサス州オースティンで行われたF1アメリカGPの金曜フリー走行において、各チームのドライバーたちがピレリの2020年仕様タイヤのテストを行った。
だが、ほとんど全てのチーム、全てのドライバーが、そのタイヤに合格点を付けることはなかった。
例えば、レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーはドイツの『Motorsport-Magazine.com』に次のように語っている。
「前進したとは言えないものだ。だが、数日を使って分析することには同意したよ」
ピレリがオースティンに持ち込んでいたプロトタイプタイヤは、オーバーヒートの影響を小さくすることがその目標のひとつとなっていた。
1997年のF1チャンピオンであるジャック・ビルヌーブは、それが現在のF1に大きな影響を及ぼしているのは確かだと地元カナダの『Le Journal de Montreal(ジュルナル・ド・モントレアル)』に次のように語った。
「今はそのことが大きな問題になっているし、ピレリはそれに対応しなくてはならない」
「クルマが前のクルマを追っていけない理由はダウンフォースが失われるからだが、そうした状態ではタイヤがオーバーヒートしてしまうんだ」
フェラーリのチーム代表を務めるマッティア・ビノットは、ピレリが今回持ち込んだテストタイヤはその問題が解決されてはいなかったと指摘している。
「あのタイヤは速くなっていないし、摩耗に関しても改善されていない」
「我々としてはあのタイヤは好ましいとは思えない。目標に達していないからね」
だが、ピレリのレース責任者であるマリオ・イゾラは、ドライバーたちが最初に口にした不満をそのままうのみにするべきではないと語り、次のように続けた。
「それは、私がドライバーたちを信頼していないということではないんだ。我々はデータに目を通すことができるだけだ。今回我々は最初の指標を手にしたところだし、これからまだやるべきことがたくさんあるよ」
今季のF1最終戦アブダビGP(12月1日決勝)の翌週にはヤス・マリーナ・サーキットで公式シーズン後テストが予定されているが、そこでまたピレリの2020年仕様タイヤがテストされることになっている。
イゾラは、そのテストではタイヤに合わせたマシンセッティングの調整も必要になると次のように付け加えた。
「このタイヤをうまく使うためには、今後クルマにいくらか調整を施すことが必要になる」