レッドブル首脳のひとりであるモータースポーツアドバイザーのヘルムート・マルコが、ジュニアチームのトロロッソでテクニカルディレクターを務めていたジェームズ・キーがチームを離脱することになった経緯を説明した。
イギリス出身エンジニアであるキーは1998年にジョーダンでF1キャリアをスタート。最終的にはフォース・インディアと名前が変わったチームにとどまり続けていたキーだが、2010年にザウバーに移籍すると、2012年9月にトロロッソに迎え入れられていた。
そのキーが今年7月にマクラーレンと契約を交わしたことが明らかとなった。現在はいわゆる“ガーデニング休暇”に入っているキーだが、恐らく2019年シーズン中のどこかでマクラーレンに合流することになるものと考えられている。
一時は2015年以降F1の第一線から退いた形となったレッドブル最高技術責任者エイドリアン・ニューイの後任としてレッドブルの技術責任者に抜擢されるのではないかとのうわささえささやかれたこともあったキーの離脱はトロロッソにとっては大きな打撃だと考えられている。
だが、マルコは、それは少し違うと『motorsport-total.com』に次のように語った。
「ディートリッヒ・マテシッツ(レッドブル総帥)が我々(レッドブル)にトロロッソとの関係を深めることを課したのだ。そして、そのためにはひとつのことを避けなくてはならない。つまり、それぞれのチームで違う人間が同じ仕事をすることだ」
「我々はそのための計画を立てた。まだその計画は完全にまとまってはいないがね。だが、ジェームズ・キーはその計画には反対だったんだ」
「最終的には、私は彼のことは気にとめないほうがうまくいくと思っているし、これが最善の解決策だと考えている」
レッドブルでは2019年からホンダをワークスエンジンサプライヤーとして迎えるが、それに向けて天才F1マシン設計者として評価も高いニューイが再び全面的にレッドブル・レーシングの技術面をリードする立場に戻ってきている。
マルコの説明によれば、2019年からはニューイが事実上レッドブルとトロロッソの技術面を統括することになることから、キーとしては自分の手腕を存分に発揮できる場がなくなってしまうと判断したということだろう。そして、それが母国イギリスにファクトリーを構えるマクラーレンからのオファーを受けるという決断につながっていたわけだ。
事実、マルコは、トロロッソにはキーの後任テクニカルディレクターを置くつもりはないと次のように付け加えている。
「トロロッソで誰かほかの者にテクニカルディレクターをやらせるつもりはないよ。その機能はもはや必要ではないんだ。レッドブルのコンセプトが(トロロッソでも)使われることになるからね」