マノー・マルシャの新車が2015年シーズン中に投入される可能性は低くなってきたようだ。
昨年の経営破たんから立ち直ったマノー・マルシャだが、現在は2014年型F1カーに今季のルールに適合するよう改造を施したマシンでエントリーを行っている。だが、夏休み明けの第11戦ベルギーGP(8月23日決勝)以降は新たに設計・製造された2015年型車を投入する計画であると伝えられていた。
だが、最近『Speedweek(スピードウィーク)』が報じたところによれば、マノー・マルシャでは現在のクルマでも十分に予選107%ルールをクリアできている状況をかんがみ、今季型車の製造に予算を投下するよりは、来シーズンに向けた開発のほうに注力するほうが賢明ではないかとの検討を行っているという。
■ベルのもとでより長期的な計画を推進か
マノー・マルシャでは、6月初旬にかつてルノーF1やメルセデスAMGで技術責任者を務めていたボブ・ベルをアドバイザーに迎えたことを発表していた。
マノー・マルシャの社長を務めるグレアム・ロードンは、ベルがもっと「大局的」な観点からF1カーの改善に向けた取り組みを始めていることを認め、次のように語った。
「我々のところには、2015年にかなりきちんとしたクルマとパッケージをまとめあげることができるだけの効率的かつ実働的な技術チームがあった」
「もちろん、それによって果たすことができる進展には限界があった。そして、我々は現在、普段とはかなり異なる段階に面している。つまり、さまざまなものを再構築しながらも、大局的な展望のもと、さらに大きな戦略に取り組もうとしているのだ」
「我々としては、あえて言うならば、かつてのペースを取り戻すための場当たり的な問題解決にあまり注力したくないと考えている」
■ライマーの即時昇格を否定するマノー・マルシャ
マノー・マルシャでは、今回のベルの加入に加え、2013年のGP2チャンピオンであるファビオ・ライマーを控えドライバーに迎えたことも発表していた。
現在、スイス出身のライマーのマネジメントチームは、ライマーにステアリングを握らせるためのスポンサーシップをまとめることに取り組んでおり、早ければ来週末のF1オーストリアGP(21日決勝)の金曜フリー走行1回目にライマーがF1デビューを果たすのではないかとも言われている。
現在のドライバーの1人であるロベルト・メリーはスポンサーを持っておらず、今後スポンサー資金を持ち込めるドライバーが登場すれば、そのシートを失うことになるだろうと言われていた。
だが、ロードンは『Speedweek(スピードウィーク)』に次のように語った。
「ファビオとの契約を結んだことが、メリーと我々の関係が終わる日が近づくということを意味するものではない」
「だが、我々としては、何かが起こったときのことを考えて控えドライバーを持つことが必要だと考えていたんだ。そして、ライマーはそれに向けて理想的なドライバーだよ」とロードンは付け加えている。