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決まるようで決まらない、2015年エンジン開発凍結「解除」

2014年11月08日(土)19:30 pm

2015年エンジン開発の凍結「解除」問題は、当初考えられていたほど容易に解決しそうにない。

今季、圧倒的な優位に立つメルセデスは、つい数日前まで唯一、継続的なエンジン開発に反対の立場だった。ところがその後、苦戦するフェラーリとルノーが追いつけるよう、メルセデスは彼らに塩を送るジェスチャーを見せた。

「先週土曜日(11/1)に行なったミーティングのことだ」と、F1第17線アメリカGP後に語ったフェラーリのチーム代表マルコ・マティアッチ。「メルセデスが、妥協するといい出したのだ」

「だが、これで一件落着といえる気分ではないね。なぜならメルセデスは、もともと開発凍結解除に賛成していたのだ。なのに、考えを変えたのだから」

一方、ルノーのワークスチームであるレッドブルの代表クリスチャン・ホーナーは、次のように語る。「メルセデスは、他社との競争を促進するためにはチャンスの場を設けることも必要だと納得してくれた」

ところでパワーユニットは、ピストン、点火装置など全部で66点にパーツ分けされ、重要度により1から3までランク付けがされている。エンジンメーカーは、パーツ毎に「トークン(手形)」をFIA(国際自動車連盟)に差し出し、翌年のエンジンを開発する。各メーカーが2015年用パワーユニットに使える「トークン」は32枚。すべて使えば、ユニット全体のおよそ48パーセントを改造できる計算だ。さらに、エンジンは毎年、FIAのホモロゲーション(認証)を受けなければならない。締め切りは2015年2月末日だ。これを7月末まで延長しようというのが、今回、合意に至った妥協案である。

ところが、フェラーリもルノーも、必ずしもこれに満足していないことが判明した。

ドイツ『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌は、フェラーリならびにルノーの両メーカーにパワーユニットの開発協力を行なっている人物の、こんなコメントを紹介した。「彼ら(フェラーリとルノー)は共に、パワーユニットのコンセプトそのものを大きく見誤った。つまり、48パーセント程度の開発ではメルセデスのレベルに追いつかないというわけだ」

記事には、彼らは開発できる範囲を48パーセントから67パーセントに引き上げるよう求めているとある。

メルセデスも一定の妥協はするが、トト・ヴォルフはこれに条件を付ける。「毎年、規則を変えるわけにはいかない」

そして『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌によると、ヴォルフもチーム会長ニキ・ラウダも48パーセントから67パーセントへの開発拡大には反対だ。

「あまりに経費がかかりすぎる」と、二人はいう。

こうした意見の食い違いは、F1にとってさらに大きなトラブルの火種だ。エンジン使用料はかつてないほど高騰している。そんななか、グリッド後方ではふたつ(ケータハムとマルシャ)もチームをたたんでしまった。かといって現在の開発凍結を維持すれば、メルセデス勢の上位独占は何年にも渡って持続しかねない。

以上の事態に、バーニー・エクレストンは独自の理論を展開する。かつてのV8エンジンはより安価なばかりか、F1ファンの人気も高いというのだ。

「彼ら(レース主催者)は、エンジンやチームがパッケージとなった形のF1に金を払っている。われわれは、彼らの期待に応えていない」というエクレストン。先週末のF1第17戦アメリカGPでは、そもそもV6は音が静かすぎるとイギリスのテレビ局『Sky(スカイ)』に話していた。

「われわれは規則を変えねばならない。あの(V6)エンジンを何とかして捨て去るのだ。どうせ誰の役にも立っていない。あんなものはF1じゃない」と語るエクレストンだった。

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