前戦F1ベルギーGP(第12戦)決勝においてニコ・ロズベルグがルイス・ハミルトンのクルマに接触し、ハミルトンをリタイアに追い込むという同士打ちが起きたことを受け、メルセデスAMGのドライバー管理に関する批判の声が相次いでいる。
メルセデスAMGではその後、現在ポイントランキング首位を走るロズベルグもその接触事故を悔いており、ハミルトンに対して謝罪するとともに、チームからも懲戒処分を受けたと発表していた。
イギリスの『Daily Mail(デイリー・メール)』は、その処分の内容は6桁(けた)に及ぶ金額(日本円にして1,000万円以上)を罰金として慈善事業に寄付するというものだと伝えている。
だが、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)の前会長であるマックス・モズレーは、今回そのロズベルグの処分に関する発表を行ったことに関し、メルセデスAMGは間違っていると考えているようだ。
「もし彼らがロズベルグを罰したり罰金を科したりすることにしたのであれば、それを発表すべきではなかったよ」
そう語ったモズレーは次のように続けた。
「それはチームとして公然と彼(ロズベルグ)を非難することになる。それはまったく正しいやり方ではないよ」
元F1チームオーナーであり、現在はイギリスのテレビ局で解説者を務めるエディー・ジョーダンもメルセデスAMGのやり方に対して否定的だ。『Daily Star(デイリー・スター)』に対し、チャンピオン争いで主役を演じているドライバーたちにそうした処遇をすべきではないと語ったジョーダンはさらに次のように続けた。
「責めるべきはチームだよ。彼らは弱腰だし、リーダーがいないんだ」
「あのチームは、甘やかされた子供のように、やりたい放題のことをしている2人のドライバーによって動かされている」
かつてマクラーレンでドライバーを務めたこともある元F1ドライバーのジョン・ワトソンも、メルセデスAMGの首脳陣であるトト・ヴォルフ(ビジネス担当ディレクター)、パディ・ロウ(技術担当ディレクター)、そしてニキ・ラウダ(非常勤会長)のことをかつて一世を風靡(ふうび)したコメディー番組の「三ばか大将」に例えるとともに、アニメの「ルーニー・テューンズ」型の組織管理をしていると揶揄(やゆ)している。
「ルイスとロズベルグがやっていることは、過去に2人の非常に強いドライバーが行ってきたことと何ら変わらないよ」
そう述べたワトソンは、次のように続けた。
「だが、違いは管理手法だし、昨年までチーム代表を務め尊敬を集めていたロス・ブラウンのような人物がいるかどうかだ」
「もしそういう尊敬を集める人物がいなければ、狂人たちによって支配される精神病院で終わってしまうし、それが今のメルセデスAMGの状態なんだ」