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「故意?」「単なる事故?」—論議を呼ぶロズベルグの接触事故

2014年08月26日(火)18:34 pm

F1関係者の間では、ニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)がF1ベルギーGP(第12戦)決勝でチームメートのルイス・ハミルトンに対してとった行動についてはさまざまな見方があるようだ。メディアにはロズベルグの事故をめぐる記事がさまざまな形で取り上げられている。

【結果】F1第12戦ベルギーGP決勝の順位、タイム差、周回数

2012年までハミルトンのチームメートであったマクラーレンのジェンソン・バトンは、結果的にハミルトンとの差をほぼ30ポイントも開くことに成功したロズベルグの接触事故に関し、ひいき目に見ても疑わしいものだと考えている。

■フェアな戦いではなかったとバトン

イギリスの主要紙には次のようなバトンのコメントが引用されている。

「あそこでああいうことをする必要はなかったよ。信じられないね」

「僕はいつも、サーキット上で一番いい仕事をしたドライバーがF1チャンピオンの座を勝ち取るんだと言ってきた。でもあのときのことは、そうは見えないね」

「あれは正々堂々とした戦い方じゃないし、残念だよ」

だが、そう語ったバトンも、キャリアを通じて初めてF1タイトル争いを演じることとなったロズベルグは、そうした状況の中で恐らくは強い「プレッシャー」を抱えているに違いないと付け加えている。

■故意にぶつかったとは思わないとクルサード

元F1ドライバーのデビッド・クルサードは、あの接触事故によってロズベルグが「スポーツマン精神に反した」と性急に判断することはしたくないと『Telegraph(テレグラフ)』に次のように語った。

「事前に誰かをパンクさせてやろうなんて計画することはできないよ。僕もキャリアを通じて10回はああいう形でウイングを失ったことがある。自分のクルマの前部は見えないからね」

「競技委員は正しい判定を下したと思うよ。でも、彼らには別の形で処分のようなことが行われることがあってしかるべきだろう。これは通常のレース中の事故ではないからね」

■あの事故を引き起こしたのはロズベルグの意地?

クルサードはさらに、あのときのロズベルグの運転は「意図的」なものというよりは「不器用」だったのだと語り、「ニコがああいうことをした背景には意地という要素があった」のだろうと次のように続けている。

「彼(ロズベルグ)はバーレーン(第3戦)でハミルトンに抜かせてもらえなかったし、ハンガリー(第11戦)でもまた同じことが起きた。だから、恐らく彼は、そんなに簡単に抑え込まれるつもりはないということを示す必要があると感じたんじゃないかな」

また、クルサードは、今回の事故については、大きな論争を呼んだモナコGP(第6戦)の予選での事故を踏まえて考えるべきだろうと次のように続けた。

「もし3度も同じようなことがあればどうなるかな? 我々は彼のことを、以前チームメートだったミハエル・シューマッハのようなドライバーだと考え始めるかもしれないね。彼(シューマッハ)は驚くほど長期にわたってトップに君臨していたよ」

■ニコに非があるがレースにはつきものの事故だとベルガー

もうひとりの元F1ドライバーであるゲルハルト・ベルガーは、次のように語っている。

「ニコが責めを負うべきなのは間違いないね」

ドイツの『Bild(ビルト)』紙にそう語ったベルガーだが、あの事故はハミルトンをリタイアに追い込むためにロズベルグがわざと起こしたというようなものではないと次のように続けた。

「だが、2人のドライバーがホイール・トゥ・ホイールでああいう厳しい戦いをしていれば、何かが起こるものだよ。あのコーナーでは追い抜きもできるということは分かっていたしね。自滅しようとして行った動きではないよ。普通のレース中の事故だ」

「それに、あれが2周目に起ころうが、33周目に起ころうが、それは問題じゃないんだ。抜けると思えば、そうするものさ。ニコがやったのはそれ以上のことではないし、それはファンだって見たいと思っているものだよ」

だが、この問題を複雑にしているのが、ロズベルグがメルセデスAMGのレース後の会議で行った発言だろう。ハミルトンだけでなく、ビジネス担当エグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフも、ロズベルグが自分の「主張」を証明するためにラインを変えなかったと認めたことを明らかにしている。

これに関しては、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)も注目するかもしれない。FIAは必要があれば事後であっても調査を開始する権限を有している。

■この事故について再調査はしないとFIA

だが、元F1ドライバーであり、しばしばF1競技委員を務めるデレク・ワーウィックは、イギリスのラジオ局に対し、ロズベルグの行為は「愚か」なものだったかもしれないが、それはFIAや競技委員が取り上げるべき問題というよりも、メルセデスAMGの「内部問題」にしか過ぎないと語っている。

さらに、FIAの広報担当者は『Daily Mail(デイリー・メール)』に対し、「FIAがこの件に介入することはない」と述べ、次のように続けた。

「最終結果が確定した後は、何か“新たな要素”が出てきた場合にのみ調査を行うことになる。内部の会議で語られたコメントで、しかもそれについてはチーム自身が後で否定をしており、これはそうした“新たな要素”には該当しない」

■もはや2人の関係は修復不能

明らかなことは、すでに崩れていたロズベルグとハミルトンの関係が、これによりもはや修復不可能なものとなったということだろう。

この2人は今シーズンの残りのレースでうまくやっていけるだろうかと質問されたメルセデスAMGの非常勤会長ニキ・ラウダは、『Welt(ヴェルト)』に次のように答えた。

「日曜日の会議の成り行きを考えれば、そうはいかないだろうね」

「だが、再び彼らの関係を構築するのは、まさにチームのリーダーたちの務めだよ」

■今回の事件を歓迎する者も

一方、今回の件で喜んでいる者もいる。F1最高責任者のバーニー・エクレストンだ。

「あれによって大きな関心が生まれることになった」とインドの『PTI通信』に語ったエクレストンは、次のように付け加えている。

「F1にとってはすごくいいことだよ」

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