バルセロナで行われたF1シーズン前テスト3日目の21日(木)、フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)は最速タイムを記録したが、メディアに対して多くを語らなかった。
ブラジルの『O Estado de S.Paulo(オ・エスタード・ジ・サンパウロ)』紙の記者リビオ・オリッキオは、今年のテストでフェラーリがドライバーを表に出さないようにしていることが、メディアの「怒りを買っている」と話している。
しかし、注目を集めたのはアロンソではなく、残る唯一のF1シート、フォース・インディアのドライバーの座をめぐるエイドリアン・スーティルとジュール・ビアンキの争いのほうだった。
ビアンキは、テスト最終日の22日(金)にテストを担当したが、ドライコンディションではなく、雨が降りウエットコンディションでの走行となった。
21日(木)には、2011年シーズンまでフォース・インディアに在籍していたスーティルが1年ぶりにステアリングを握った。2011年に起こした傷害事件で有罪判決を受け、2012年はまったくレース活動をしていなかったスーティルだが、いきなりレースドライバーであるポール・ディ・レスタ(フォース・インディア)より速いタイムを出して印象づけた。
「今も僕が速いことは明らかだ。そこがとても重要だよ」とスーティルは記者らに話した。「ドライバーの座を手に入れられるといいけれど…何とも言えないね」
しかしスーティルは、これが単純にドライバー同士の争いではないことを承知している。
「裏にはちょっとしたビジネスの部分がある」とスーティルは話し、2014年に控えた新たなV6ターボエンジン導入に向けて、スーティルとつながりのあるメルセデスと、ビアンキを支援しているフェラーリ、どちらのエンジンをフォース・インディアが選ぶかが鍵を握っていることをほのめかした。
スーティルはF1公式サイトのインタビューでこう話している。「僕とメルセデスとはずっといい関係を続けてきた。今シーズン僕が乗ることに対して、メルセデスが大きな関心を持ってくれることを願うよ」
21日(木)にフォース・インディアのチーム副代表であるボブ・ファーンリーは、チームの株主が週末に決定を下すだろうと明かしていた。
しかしスーティルは、『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に対して笑ってこう言った。「来週には決まると1カ月間ずっと言っているよ。メルボルン(2013年開幕戦オーストラリアGP)でグリッドに誰がついているか、まあ見てみよう」