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小林可夢偉、片山右京、笹原右京インタビューその1

2012年01月18日(水)8:49 am

千葉県の茂原ツインサーキットで14日(土)に行われたグッドスマイルレーシングのカートイベントの際、小林可夢偉(ザウバー)、グッドスマイルレーシングのスポーティングディレクターである片山右京、そして、昨年にカートのジュニア世界王者となった笹原右京がインタビューに応じてくれた。

Q:今日はファンと一緒に走るイベントですが、参加してみていかがですか?

小林可夢偉:ファンと走るイベントは、こういうイベントしかないですし、オフシーズンにファンと触れ合う場です。レーシングカーではなく、レーシングカートで、僕はもう(カートの)プロではないので、逆に言えば、ゴーカートのプロがいるので、ゴーカートのプロに負けるところを見てもらうんだろうなと思っています(笑)

片山右京:可夢偉はそうやって、たまに下界へ下りてきて、交流しないといけないけど、僕は(現役だったのが)過去だから、自分から出て来ないともっと交流できない。だから、もっとやっつけられるところを見せて、笑わせることになると思います。

片山:でも、それはそれで、僕たちが走っていたときにこういった時代はくるなと思ったけど、一緒に走れるチャンスはなかなか無い。ましてや可夢偉とかはね。だから、心躍るというか、年取るのもまんざら悪くないなあと思います。

Q:笹原選手は今カートの現役として走っていますが、可夢偉選手のような世界のトップドライバーと走ってみていかがですか?

笹原右京:これから走ることになるですが、可夢偉さん、右京さんに負けないように、ついていけるように…

可夢偉:いやいや、よく言うわ(笑)。俺らボロ負けするからね絶対。相手にしないでいただきたい(笑)

片山:可夢偉は負けても現役だからかっこいいけど、一番みっともないのは俺でしょ(笑)

Q:右京さんは今でもカートに乗られるんですか?

片山:しない、しない。僕はカート世代じゃないから、F1を引退してから初めてカートに乗ったんです。多摩テックとか鈴鹿サーキットにあったのしか乗っていなかったから、でもさっき乗ったら… いや、やっぱその話はやめよう(笑)

Q:昨シーズンの話になりますが、可夢偉選手はF1フル参戦2年目でチームリーダーとして戦うことになりしました。今、振り返ってみていかがですか?

可夢偉:厳しいですよね。2年目でそういう立場にいるということも珍しいんです。それ以上に「厳しい」と言われるチームですし、すごくいい、ファミリー的なチームなんですが、プライベートチームなので、僕らは失敗ができないというポジションにいるチームなんです。

可夢偉:ポイントを取れるレースで取っておかないと、いつダメになるか分からないですからね。シーズン初めは、すごく良いスタートが切れて、クルマも調子よかったです。2010年のシーズンが終わった後、クルマはこうなるんだろうなと思いつつ、ただタイヤがピレリになったり、いろんな部分で新しいことが出てきて、分からない部分もたくさんありましたが、少ない予算でシーズン初めに(いい形に)持っていけたのはチームの力だと思いますし、満足しています。

可夢偉:ただ、さすがにシーズン中にルールが変わること(※)は予想していなかったので… 僕らとしては、それ以外ならハッピーな1年だったと思います。

Q:シーズン中盤から苦しい戦いになりましたが、それはルール変更の影響ですか?

可夢偉:それは完全にルールの問題です。

Q:右京さんから見て、去年の可夢偉の走りはいかがでしたか?

片山:完ぺきでしたよ。僕たちの時代と違って、本当の意味でプロフェッショナルな仕事をしないといけないんです。例えば、今のレッドブルのマシンと、可夢偉のザウバーでは競争できないじゃないですか? マシンのシミュレーションとか計算したところで、どの辺まで行けるのか見えてくる。相手が失敗することもあるけど、そうじゃなくて、大体この辺だろうということが、そうなる。だから、いかにそうならないようにしていくかということが大事なんです。レギュレーションのこともあるしね。その中で可夢偉は、1回もミスしてないんじゃないかな?

可夢偉:ミス、ゼロですよ。

片山:そう。全レース見ていて、ほんとにこんなことが起きるんだろうかと思った。全ラップ、ミスしていない。ブロックも、抜かさせるのも、タイヤのマネジメントも。中盤に連続入賞が途切れて、後半苦しかったのは、正直に言ってチームのせいだった。

片山:もちろんチームだけじゃなくて、レースの流れ、展開、セーフティカーのディシジョン(判断)もあったけど、ほめるとかほめないじゃなくて、ちゃんとした仕事をしている。いよいよ、そういう仕事ができる、ちゃんとした国際人のドライバーが出てくる時代になったから、本当に頼もしい。

Q:ミスがなかった中で、自分が一番よくできたレースは? それとも、ずっと同じテンションでしたか?

可夢偉:もちろんレースだから、限界で走っているときに小さなミスはあります。ただ、無理しすぎて、ポイントを取れなかったりといのんはゼロでした。クルマの方向性とか、どういう風な開発をするという面で失敗はあったけど、やっぱりそれは未知な世界だから、やってみてチャレンジして、それがダメだったという結果です。それは失敗じゃなくて、経験なんですよ。だから、同じことを次に繰り返さないという経験ができれば僕は満足です。それを、去年1年で経験できたました。

可夢偉:今年またチームを引っ張る立場として残れるので、今年は本当に安定して、中団の堅いチームになれば、僕らの持っている力からすれば理想だと思います。同じポジションにライコネン(キミ・ライコネン/ロータス)とかも来ると思うので、そういうドライバーと戦いたい。

可夢偉:テレビを見返していたら、シーズンの初めのころはメルセデスGPの前にいるんですよね。そう考えると、やっていたことは間違っていなかったんですよ。ただ、シーズン中の開発のスピードが、僕たちじゃあんな莫大なお金をもっているワークスのメルセデスGPには勝てないから、どれだけシーズン初めにポイントを稼ぐかというのが今年もキーになってくると思います。だから、冬のテストでしっかり方向性をつかんで、また同じようにできるだけシーズン頭でポイントを稼いで、最後は粘るような状態になるとは思いますが、それはプライベートチームにとって一番の課題だと思います。

可夢偉:ルノー(ロータス・ルノーGP/現ロータス)なんかもっとひどいですよ。第1戦、第2戦と表彰台に乗って、最後は僕らよりグダグダでしたから。それと比べると、僕らはよかったのかなと。ルールが変わって、僕らには完全に不利なのに、なんとかそこまで持ってこられたので、何とか粘れたかなと思います。

Q:ピレリタイヤで苦労していて、ダウンフォースがなくてタイヤが温まらないとコメントしていましたが、もう少し具体的に、分かりやすく言うと、どういうことですか?

可夢偉:タイヤが温まりやすいとかではなくて、タイヤが最初はグリップしないから、表面だけ(温度が)上がってグリップしないんです。(クルマの特性ではなく)タイヤなんです。ダウンフォースがあればいいんですよ。初めにすべらなければ、表面の温度は上がらずに中からグリップしてくるんです。でんもそれはダウンフォースが必要なんです。

可夢偉:そうじゃなければ、5周かけてゆっくり走っている間にタイヤは冷えてきちゃうんですよ。その最初の5周を頑張っても、ダウンフォースがないから滑って、表面だけ(温度が)上がってグリップしない状態だから、これはどうすることもできないんですよね。

Q:チームもそういったことは分かっているので、今年のクルマはそういったところを修正したクルマにしてくるのですか?

可夢偉:いや、修正というか、単純にダウンフォースを増やすしかないです。ブロー(排気)のマップ(設定)とかで、ダウンフォースは増えるので、あれは今年すごい有利だったんですよ。

その2へ続く。

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