F1第11戦ハンガリーGP(ハンガロリンク)で、素晴らしい走りを数周に渡って披露し、世界中のファンを魅了した40歳のフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)がドライバー・オブ・ザ・デイに選ばれた。
●【2021年F1第11戦ハンガリーGP】決勝レースのタイム差、周回数、ピット回数
アロンソはルイス・ハミルトン(メルセデス)とのF1チャンピオンを獲った者同士の世界中のファンを魅了する素晴らしい戦いで魅せてくれた。
ポールポジションからスタートし、ターン1の多重クラッシュにも巻き込まれずレースをリードしたハミルトン。混乱の中うまく抜けて9番手スタートから7番手まで順位を上げたアロンソ。
再スタートでハミルトンを除く全車がグリッドに着かずに、ピットインしてインターミディエイトタイヤからドライタイヤに変更。グリッドにはハミルトン1台のみが着いて再スタートが切られるという異例の光景となった。
しかし、ハミルトンも翌周にピットインしてドライタイヤに変更。これにより、ハミルトンは最後尾まで落ちてしまった。抜きにくいサーキットで順位を取り戻していくハミルトン。
40周目にトップを走っていたアロンソがピットインしてタイヤ交換。コース復帰した時にはハミルトンの後ろ5番手だった。ここからアロンソはペースを上げてハミルトンに近づくが、48周目にハミルトンがピットインしてタイヤ交換をしたことで両者の順位が入れ替わった。4番手アロンソ、5番手ハミルトンだ。
アロンソとハミルトンの激しいバトルが始まったのが55周目のターン1。ハミルトンが仕掛けるものの、アロンソが巧みにブロック。ここから「さすがアロンソ!」とうなるほどのハイレベルな戦いが始まった。
2007年、2人はマクラーレン時代にチームメート同士だった。ハミルトンがF1デビューした当時は、アロンソが2年連続のF1王者としてマクラーレンへ移籍。アロンソが最も勢いに乗っていた時だった。そこに新人のハミルトンが対等に渡り合い、シーズンを終えてみれば109ポイント同士で同点で終えたのだ。しかも高い順位が多かったハミルトンがランキングでは上位のランキング2位という結果だった。
その2人が10周に渡って素晴らしい戦いを魅せてくれた。
アロンソは絶妙なライン取りで、まるで後ろに目がついているか、ハミルトンの心理状況を完全に読んでいるような走りを見せつつも、タイムアップをしながら走るという超人的な走りを見せた。
ハミルトンのようなチャンピオンが後ろから攻めてくる場合、F1ドライバーと言えどもミラーに映るハミルトンが気になってしまい、ブロックラインを走ることから自身のタイムが伸びない傾向になるのが普通だ。しかしアロンソは、タイムアップをしながらブロックをするという、さすが元チャンピオンという超人的な走りを見せたのだ。
10周もの間、あらゆる場所で何度もハミルトンはアロンソに仕掛けるが、決して接触はしないギリギリのクリーンな戦いを魅せてくれた。
しかし65周目のターン1、ブロックラインを取りわずかに膨らんでしまったアロンソのミスを見逃さず、後ろのハミルトンが一気に抜き去りこの勝負は決着したが、10周にも渡って素晴らしいバトルを見せてくれた。
そしてこの10周のも間アロンソがハミルトンをブロックしたことで、チームメートのエステバン・オコン(アルピーヌ)は、ハミルトンの攻撃を受けることなく初優勝を成し遂げることができた。
もしアロンソが他のドライバーのように1周でハミルトンにパスされていたら、ハミルトンの猛追を受けてオコンとアルピーヌの優勝はなかったかもしれない。それほど意味のある10周だった。
F1に復帰したアロンソとしても、現チャンピオン相手に超ハイレベルな戦いを楽しみ、40歳になってもまだまだ戦えるという実力を世界に見せつけた素晴らしいバトルだった。
世界中のファンが、セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)のプレッシャーにもまったく動じずに素晴らしい走りで初優勝を果たしたオコンではなく、40歳のベテランであるアロンソを選出したことも納得できる。
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