かつてメルセデスのモータースポーツ責任者を務めていたノルベルト・ハウグが、もしミハエル・シューマッハがあのスキー事故に遭わなければ、今頃はF1チーム代表として成功を収めていただろうと語った。
7度F1チャンピオンに輝いたシューマッハは2013年末に起きたスキー事故により脳に深刻なダメージを受けてしまった。以来、その回復状況などに関する情報は全くと言っていいほど伝えられていない。
2012年までメルセデスのモータースポーツ担当マネジングディレクターの職にあったハウグは、現在52歳となったシューマッハがもしあの事故に遭っていなければ、今頃はモータースポーツの世界で優れたマネジャーもしくはリーダーとして活躍していたはずだと考えている。
シューマッハはF1昇格前にはメルセデスのジュニアチームに所属していたこともあり、ハウグとはそのころからお互いによく知る間柄だった。そして、2010年にシューマッハがF1復帰したのもメルセデスF1チームであり、ハウグもF1時代のシューマッハのことをよく知っている。
「彼は完璧なトップマネジャーになっていただろうし、レーシングカーの外でも同じように成功していただろう」
母国ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』にそう語ったハウグは次のように続けた。
「彼の人間としての成長ペースはレースサーキットで走っているときと比べても遅くなかったよ」
「彼は洗練された英語を話し、全く健康で、賢かったし、いつもエネルギーに満ちていた」
「レーシングドライバーとしての彼は知識に非常に貪欲で、何かを突き詰めるためには手段を選ばなかった」
「ミハエルはメカニックやチームメンバーと接するとき、常に共感を持って接していた。みんなのやる気を引き出し、みんなの誕生日を心得ていて、みんなに家族のことを聞いていたよ」
今年はミハエルの息子ミックがハースからF1デビューを飾っているが、ハウグが言うように、もしあの事故がなければ、シューマッハ親子が同じチームで活躍するといった光景が見られる可能性もあっただろう。