先週末にモンテカルロ市街地サーキットで行われた今季のF1第5戦モナコGPの国際映像でのカメラワークにF1ファンから多くの批判が寄せられたようだ。
●【F1第5戦モナコGP】決勝レースのタイム差、周回数、ピット回数
コース幅が狭く、曲がりくねった市街地コースで争われるモナコGPはコース上でのオーバーテイクがほとんど見られないレースであることはよく知られている。
今年のモナコGPでもそれは変わらず、テレビの前に座るファンは長時間にわたって同じ順列でF1マシンが走行するのを見守ることになっていた。
だが、その中で最大の見せ場だったのは、セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)がピエール・ガスリー(アルファタウリ)とルイス・ハミルトン(メルセデス)の2台をオーバーカットして見せた場面だろう。
レースはずっとガスリー5番手、ハミルトン6番手、ベッテル7番手の位置で推移していたが、78周のレースが30周目を迎えたところでまずハミルトンがピットイン。ガスリーもこれに対応して31周目にピットイン。ガスリーはハミルトンにアンダーカットを許さず、その前でコース復帰を果たした。
だが、その次の32周目にピットに戻ったベッテルがピットロードからコースに戻るとガスリーとほぼ横並びとなり、この2台がボー・リバージュと呼ばれる坂道でホイール・トゥ・ホイールの争いを展開し始めた。
ところが、そのとたんに国際映像はこの2人のバトルではなく、ランス・ストロールが縁石に乗ってマシンを大きくジャンプさせたときの映像リプレイに切り替わってしまったのだ。
ファンはこのカメラワークに大きな不満を抱き、F1にも多くの批判的コメントが寄せられていたようだ。
だが、ほかのグランプリではF1商業圏を管理しているFOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)がテレビ映像の管理をしているものの、モナコでは伝統的にプロモーターのモナコ自動車クラブ(ACM)が毎年テレビ放送の運営責任を担っており、実際にはACMの委託を受けたモナコのテレビ局『TMC』が制作を担当しているという。
今年のモナコでの国際映像に関して問い合わせを受けたFOMのスポークスマンは次のように答えたと報じられている。
「放送を完全にコントロールしていたのはACMだ」
「我々にはカメラワークに関する発言権はないが、もちろん彼らには我々からも報告するつもりだ」
結局、ベッテルがガスリーとのバトルを制し、見事にオーバーカットを成功させて最終的には5位でフィニッシュ。ベッテルは今季初ポイント(10ポイント)を獲得している。
国際映像ではカットされてしまったベッテルとガスリーのバトルだが、F1ではそのときのベッテルのオンボード映像をSNSに投稿している。