いよいよ2020年のF1開幕戦オーストラリアGP(15日決勝)が来週末に迫ってきた。だが、本当にレースが開催できるのかどうか、現時点でもまだ不透明な状況が続いている。
いまだに終息の気配すら感じられない新型コロナウイルス問題だが、F1では第4戦として上海での開催が予定されていた中国GPの延期を決めているものの、現時点ではそれ以外のレースはすべて開催するという姿勢を崩していない。
また、伝えられるところによれば、開幕戦の舞台となるメルボルンでも現時点ではF1レースをキャンセルするつもりはないとしているようだ。
だが、現在オーストラリアでは新型コロナウイルス対策として、感染者数が多いイタリアなどからの入国を厳しく制限しており、本当に来週末にメルボルンでレースができるのかどうかは微妙な状況だ。
伝えられるところによれば、オーストリアに入国しようとした何人かのイタリア人たちは2週間の隔離状態に置かれているという。
もし同様の措置がF1関係者にも適用されることになれば、イタリアからオーストラリアに渡るフェラーリ関係者、アルファタウリ関係者、そしてF1公式タイヤサプライヤーであるピレリの関係者の多くが実際にレース現場に赴くことは不可能となる。
こうした中、フェラーリのチーム代表を務めるマッティア・ビノットは、F1やF1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)は、実際にメルボルンに向かう前にどうするのかをはっきりとさせて欲しいと次のように語っている。
「我々には従業員たちを守る必要がある。我々がどうなるのか、あるいは状況がどうなるのか、飛行機に乗ってから分かるのでは遅いからね」
イタリアのファエンツァにファクトリーを構えるアルファタウリ・ホンダのチーム代表であるフランツ・トストは、もしイタリアの関係者だけがオーストラリアのレースに参戦できないことになった場合、そのままグランプリを行うのは不公平だと次のように主張した。
「もしもいくつかのチームがレースをすることができない場合、そのままシーズンをスタートさせるのは不公平だと思うよ」
F1最高責任者のチェイス・キャリーは、一定の「ハードル」があるかもしれないということは認識しているものの、現時点では開幕戦オーストラリアGP、第2戦バーレーンGP(22日決勝)、第3戦ベトナムGP(4月5日決勝)は予定通り開催することになると主張している。
キャリーは、今季のF1開幕は第5戦オランダGPまでずれこむ可能性が高いと報じられていることに言及しながら次のように語った。
「そういう根拠のない憶測に耳を傾けるつもりはない。我々は完全な形で世界選手権を行うということを基本に据えて取り組んでいるよ」
だが、実際のところ、来週末に迫った開幕戦が本当に実施できるのかどうかすべてのF1関係者やドライバーたちが不安に感じているのは事実だ。
フェラーリのセバスチャン・ベッテルは次のように語っている。
「僕たちはメルボルンに行くことになるだろうとは思っているよ。もうチケットも手にしているしね」
「あと数日様子を見る必要があるけれど、そうすればもっと詳しく分かると思うよ」
また、マクラーレンのカルロス・サインツは次のように語っている。
「突然すべてがストップし、世界中が旅することを止めて誰もが1日中家の中にいなくてはならないというようなことになれば、ショックだろうね」
さらに、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは次のようにコメントしている。
「そのうちF1とFIAが決断を下すことになるだろうけど、現時点では全員がオーストラリアに行くことができるのかどうかが分かるのを待っているところだよ」