アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)のF1キャリアに再び暗雲が漂い始めてきたようだ。
●【決勝レース結果】F1ベルギーGP決勝レースのタイム、周回数、ピット回数
フェラーリの育成ドライバーだったイタリア出身のジョビナッツィは、今季アルファロメオで念願のフルタイムドライバーを務めるチャンスを得た。
だが、ベテランチームメートのキミ・ライコネンがコンスタントにポイントを稼ぐ一方で、ジョビナッツィは開幕からずっとノーポイントのレースが続いたことで、今季限りでF1シートを失うことになりそうだとうわさされていた。
だが、シーズン中盤からジョビナッツィは少しずつパフォーマンスをあげ、予選でのライコネンとの差をかなり縮め始めてきていた。そしてついに第9戦オーストリアGPで10位入賞を果たし、待望の1ポイントを獲得。
チーム内でのジョビナッツィの評価も上昇傾向にあり、シート喪失のうわさもいつの間にかあまり聞こえてこなくなっていた。
ところが、先週末のF1ベルギーGPで再びジョビナッツィはチーム関係者を大いに失望させてしまった。
予選Q2に進出を決めたジョビナッツィだったが、そこで搭載していたフェラーリエンジンがブロウ。これにより規定数を超えるエンジンを投入したジョビナッツィは決勝を18番グリッドからスタートすることになった。
だが、ジョビナッツィはレースではいい走りを見せ、徐々に順位を上昇。6番グリッドからスタートしたものの1周目に起きたマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)とのクラッシュで戦闘力を完全に失ったライコネンが完走を目指すのがやっとという状況のもと、ジョビナッツィはレース終盤にはポイント圏内の9番手を走行していた。
ところがトップ集団がファイナルラップに入った時点でジョビナッツィが痛恨のクラッシュを演じてしまい、ほぼ手中にしていた2ポイントを投げ捨てる形となってしまったのだ。
アルファロメオが本部を構えるスイスの『Blick(ブリック)』からこの結果について質問されたドイツ出身の元F1ドライバーのクリスチャン・ダナーは次のように答えた。
「ジョビナッツィは愚か者だよ」
さらに、同じ質問を受けたアルファロメオF1チームの会長職にあるパスカル・ピクシーは「ノー・コメント」と答えるだけだった。
そして、アルファロメオのチーム代表を務めるフレデリック・バスールは次のように付け加えている。
「あれ(クラッシュ)は余計だったということ以外、何も言うことはないよ」
現時点でアルファロメオはトータル32ポイントでコンストラクターズランキング8番手に位置している。そのうちの31ポイントはライコネンが獲得したものであり、ジョビナッツィの貢献度に対する評価が今後さらに厳しくなるのは間違いなさそうだ。