ピエール・ガスリーだけでなく、アレクサンダー・アルボンにとっても2019年F1シーズンの残り9レースが今後のキャリアにとって重要な意味を持つものになるのは間違いない。
ルノーに移籍したダニエル・リカルドの後任として今季ジュニアチームのトロロッソからトップチームのレッドブルに昇格したガスリーだったが、シーズン前半は期待された結果を出すことができずにいた。
そして、ついにレッドブルはシーズン後半の初戦となる第13戦ベルギーGP(9月1日決勝)からガスリーと、今季トロロッソからF1デビューを飾ったアルボンを入れ替えることを決定。
レッドブルは声明の中で、アルボンをレッドブルで走らせることにしたのは、2020年に誰をマックス・フェルスタッペンのチームメートにすべきかについての評価を行うためだとしている。
ガスリーのマネジャーはフランスのラジオ番組『RMC Sport(RMCスポール)』に対し、ガスリーはこれから「自分がすでに自分の力を証明してみせた大好きなチームにおいて自分の本当の価値を示していくことになる」と語っているが、ガスリーにとって今回のトロロッソ降格が大きな挫折感をもたらすことは確かだろう。
オランダ出身の元F1ドライバーであり、来年からF1カレンダーに復帰するオランダGPの主催責任者を務めるヤン・ラマースは、今回のレッドブルの決定は驚きではなかったと次のように語った。
「ガスリーにとっては辛いことだが、その一方でレッドブルはこれまで彼はもっといいパフォーマンスを示す必要があると何度もはっきりと言ってきていた」
「結局のところ、当然の結果なんだ。レッドブルが来年マックスとともにF1タイトルをとろうとすれば、彼らにはダニエル・リカルドと同じくらいのドライバーが必要になるからね」
一方で、今季トロロッソからF1デビューを飾ったばかりにもかかわらず、シーズン後半にはトップチームのレッドブルで走るチャンスを得たアルボンにさらに大きなプレッシャーがのしかかってくるのも確かだ。
イギリス生まれのタイ人である23歳のアルボンは次のように語っている。
「より深いところに飛び込むことになる。だけど、僕も水泳パンツは持っているよ」
日本でフォーミュラ・ニッポンやGT選手権で走っていたこともあるオランダ出身レーサーのトム・コロネルは、今回のドライバー人事はガスリーだけでなく、アルボンの今後のキャリアをリスクにさらすことにもなりかねないと考えている。
「私だったらクビアトを選んだだろうね」
今季2年ぶりにトロロッソでF1復帰を果たしたロシア出身ドライバーのダニール・クビアトの名前をあげたコロネルは次のように続けた。
「彼は、ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)もしくはケビン・マグヌッセン(ハース)のように優秀で速く、経験のあるドライバーだ。それに失うものもない」
「だが、アルボンにとっては非常に大きなプレッシャーになる。彼ら(レッドブル)は私が知らない何かを彼の内に見いだしたのかもしれないがね」