F1イギリスGPスタート直後の接触を巡ってメルセデスとフェラーリの間に火花が飛び散っている。
●【ハイライト動画】フェラーリが波乱のレースを制す 母国ハミルトン悔しい敗北/F1第10戦イギリスGP決勝レース
先週末にシルバーストンで行われた今季の第10戦イギリスGP決勝では2番グリッドから好スタートを決めたセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)がポールポジションからスタートしたルイス・ハミルトン(メルセデス)をかわしてトップに立った。
ところがその直後に3番グリッドからスタートしていたキミ・ライコネン(フェラーリ)がコーナーで強引にハミルトンの内側に入ろうとして両者が接触。これでスピンを喫したハミルトンは最後尾にまで順位を落としてしまった。
その後力強い追い上げを見せて順位を上げていったハミルトンだが、結局ベッテルには届かず2位でフィニッシュ。ランキングトップのベッテルとの差はこれで8ポイントに広がってしまった。
■ライコネンの事故に憤りを隠せないメルセデス陣営
レース後、メルセデスF1チームを率いるエグゼクティブディレクターのトト・ヴォルフは2016年7月までフェラーリに在籍していたテクニカルディレクターのジェームス・アリソンのコメントを引き合いに出しながらライコネンが起こした接触事故について次のように語った。
「ジェームス・アリソンの言葉を借りれば、あれは故意だったのか、あるいはへたくそだったのかと言うしかないよ」
だが、シルバーストンで痛めた首の痛みをこらえながら今季4勝目を達成したベッテルは、フェラーリが故意にハミルトンを妨害する戦略をとったと疑うのは「ばかげたこと」だと一笑に付している。
■フェラーリのボスは反撃コメント
しかし、フェラーリのチーム代表を務めるマウリツィオ・アリバベーネは、かつてフェラーリでテクニカルディレクターを務めていたアリソンがそうしたコメントを行ったと聞いて激怒している。
「誰がへたくそだって? キミがかい? 彼(アリソン)にドライバーがクルマの中で何をしているかを判断できるのか?」
「もし本当に彼がそんなことを言ったのであれば、彼は自分を恥じるべきだね」
「アリソンは何年もの間マラネロ(フェラーリ)で働いていた。だが今我々はここイギリスで彼に紳士となるよう教えているところだ」
イギリス出身のアリソンに対してそう痛烈な皮肉を送ったアリバベーネは次のように付け加えた。
「これがジャック・ビルヌーブ(1997年のF1チャンピオン)が言ったことであれば私も受け入れるだろう。彼はドライバーだったからね。だが、この男はそうじゃない」
■レース中によくある事故に過ぎなかったとの見方も
レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、第三者としての立場から見れば、F1タイトル争いに向けてフェラーリとメルセデスが接戦を繰り広げている今、両者の関係がピリピリしたものになるのは無理からぬことだと次のように語っている。
「両者の緊張が増しているとき、こうした事故が起きれば疑惑が生じるのも避けられないよ」
「だが、私はあれは単なるレース中の事故だし、それ以外のなにものでもなかったと信じているよ。もしそうではなかったら、あるいはキミがそういうことをするドライバーだったとしたら、私は驚くだろうね」
ハミルトンのチームメートであるバルテリ・ボッタスも同じフィンランド出身ドライバーであるライコネンがわざとハミルトンに接触したとは考えていないようだ。
イギリスGP決勝を4位でフィニッシュしたボッタスは次のように語った。
「僕たちは常にフェラーリとは接近戦を展開しているし、接触する可能性は常にあるんだ」
■これが初めてではないと怒りのラウダ
F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)の競技委員はライコネンに対して10秒ペナルティーを科すとともにペナルティーポイント2を与えるという裁定を下している。
しかし、メルセデスF1チームの非常勤会長を務めるニキ・ラウダは、そんなことでは納得できないと次のように語っている。
「あの事故はまったくフェアではなかった。フェラーリが最初のコーナーで我々にぶつけたのはこれが2回目だからね。笑いごとでは済まされないよ」