メルセデスF1チームの非常勤会長を務めるニキ・ラウダが、レッドブルのマックス・フェルスタッペンとダニエル・リカルドに自分たちが壊したクルマの費用を負担させるべきだと語った。
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先週末にバクーで行われたF1アゼルバイジャンGP決勝では、激しい順位争いを展開していたレッドブルのチームメート同士がクラッシュして2台ともにリタイアで終わってしまった。
■F1ドライバーはしばしばやり過ぎてしまうことがある
実際のところ、F1ではチームメート同士がクラッシュするということはそれほど珍しいことではない。
メルセデスを率いるトト・ヴォルフ(エグゼクティブディレクター)は、かつてルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグが同士打ちを演じたことを思い出しながら、F1ドライバーたちは「しばしばやり過ぎてしまうものだ」と語り、次のように続けた。
「私もクリスチャン(ホーナー/レッドブル・チーム代表)と同じ立場にいたよ」
「その一方で、我々はお互いに戦うことを恐れない互角のドライバーが2人いることを望んでいるものなんだ。だが、我々は彼らに思い出させなくてはならない。彼らにクルマを与えるために何百人もの人たちが1日24時間態勢で取り組んでいることをね」
■自分ならクルマの修理代を払わせるとラウダ
かつて3度F1チャンピオンとなった実績を持つラウダは、もし自分がホーナーだったら「家に帰って泣くだろうね」と語り、次のように続けた。
「私の目からすればフェルスタッペンに70%、リカルドに30%の落ち度があったと思う。ストレートライン上でああいう動きをしてはならないよ。結局あのかわいそうな連中はどこにも行き場がなくなったんだ」
「私なら、彼らを自分のオフィスに呼んで彼らに修理代を払わせるだろうね」
■一番重要なのは再発防止だとホーナー
だが、レッドブルのドライバー育成責任者として知られるヘルムート・マルコは、すでにフェルスタッペンとリカルドは「まずいことをしでかした」と恐縮しきっており、謝らなければならない状況に置かれているのだと語り、これ以上チーム内でペナルティーを科すようなことは考えていないことを示唆している。
また、チーム代表のホーナーも、ラウダがドライバーたちにクルマの修理費用を負担させるべきだと語ったことについて質問を受けると次のように答えた。
「ニキは、しばしばパドックにいるほかの誰よりも財政面のことを考えるんだ」
「我々にとって最も重要なことはダニエルとマックスに理解させることなんだ。ああしたことはまったく受け入れられないということをね」
ホーナーは、レッドブルもこれまでは2人のドライバーたちに自由に戦わせるという方針をとってきたと語りつつ、今後のことに関しては「バルセロナ(次戦F1スペインGP)を迎えるまえに話し合うことになるだろう」と語り、今後一定のチームオーダーを発令する可能性を示唆している。
■ドライバー同士の関係悪化にはつながらないとリカルド
一方、当事者のひとりであるリカルドは、今回のクラッシュによってフェルスタッペンとの関係が悪化するといったことはないと主張している。
「僕たちはお互いに相手に対して怒ったりはしていないよ」
そう語ったリカルドは次のように付け加えた。
「僕たちはただチームに謝りたいと思っているんだ。僕たちにはそれしかできないよ」
■ドライバーたちには“戒告処分”
今回の同士打ちに関して、F1を統括するFIA(国際自動車連盟)は2人のドライバーに対して戒告処分を付している。ちなみに、1シーズン中に3度戒告処分を受けると次のレースで10グリッド降格ペナルティーが科されることになる。
今回の処分に関し、F1競技委員長を務めるFIAのチャーリー・ホワイティングは、「どちらのドライバーももっと慎重に対応することができたはずだ」と語っている。