マックス・フェルスタッペンがレッドブルとの契約を2020年まで延長する決心をしたのは、ホンダのPU(パワーユニット)開発製造施設を見たことによるものだった。
2015年に17歳でF1デビューを飾り、翌2016年にはトップチームのレッドブルへと昇格したフェルスタッペンは、「新たなセナ」と呼ばれるなど、その並外れた才能でF1関係者やファンを魅了してきている。
一方、大きくシャシー関連レギュレーションが変わった2017年シーズン開幕前にはレッドブルが最強メルセデスAMGにとって最大のライバルとなるだろうと言われていた。
ところが、実際にシーズンが始まると、メルセデスAMG対フェラーリという図式が鮮明となり、レッドブルはその2チームから差をつけられた3番手チームという位置付けとなってしまった。
■大幅な年俸アップを勝ちとったフェルスタッペン
こうした状況を受け、フェルスタッペンはフラストレーションがたまっていることをあからさまにアピール。ちまたのうわさではレッドブルとの契約を中途解除してフェラーリもしくはメルセデスAMGへ移籍するチャンスを探っているようだと言われていた。
ところが、フェルスタッペンは10月にレッドブルとの契約を2020年まで延長したことを発表し、F1関係者たちを驚かせた。
これに関しては、フェルスタッペンのマネジメントチームがメルセデスAMGとの交渉をにおわせることで、レッドブルとの新契約によってフェルスタッペンの年俸を2500~3500万ドル(約28~50億円)という範囲にまで押し上げることに成功したようだとうわさされていた。
■フェルスタッペンとの交渉はなかったとラウダ
だが、メルセデスAMGの非常勤会長を務めるニキ・ラウダは、こうしたうわさに関して『Servus TV(セアヴスTV)』に次のように主張した。
「我々はマックスにオファーを出したことなどないよ」
「私はヘルムート・マルコ(レッドブル首脳)といい関係を保っているし、話をしたり一緒に飛行機で移動したりすることもときどきあるんだ」
「今日もフェルスタッペンの話が出たから彼に言ってやったよ。彼らはかなりの金を節約できたはずだとね。なぜなら、我々は彼との交渉に入ったことなど一度もなかったんだからね」
■ホンダの施設を見て納得したフェルスタッペン
一方、レッドブルのマルコの方はフェルスタッペンとの契約を延長できたことに満足していると次のように語っている。
「我々は今後に向けた計画を彼にも伝えており、2020年までには最高の人材とエンジンに関するいい選択肢を手にすることになると保証したんだ」
「我々はさくら市にあるホンダの拠点を訪れたが、設備は非常に素晴らしいものだ。これで彼も納得したんだ」
「彼は当時の状況をうまく利用して報酬アップを勝ちとったよ。だがこれに関して言えば、彼(の報酬)はベッテルやハミルトンには遠く及ばないよ」
そう語ったマルコは、次のように付け加えた。
「もし彼がタイトルをとれば、彼ら(ハミルトンやベッテル)に近づけるだろうね。だが、我々は低い基準のサラリーの上に高額の賞金を用意しているんだ」