マーカス・エリクソンが今季限りでザウバーのシートを失う可能性が高くなってきているようだ。
今季ザウバーのドライバーを務めているのはスウェーデン人ドライバーのエリクソンとドイツ人ドライバーのパスカル・ウェーレインだ。
ホンダとの契約を破棄して、2018年以降もフェラーリからPU(パワーユニット)の供給を受けることにしたザウバーでは、今後さらにフェラーリとの関係を強化していく方針だと伝えられている。
そうした中、2018年にはフェラーリの育成ドライバーであるシャルル・ルクレールあるいはアントニオ・ジョビナッツィがザウバーのひとつのシートを獲得することになると見られている。
少し前までは、それによって今季限りでシートを失うのは、メルセデス所属ドライバーであるウェーレインの方だと見られていた。エリクソンに関しては、昨年ザウバーの新オーナーとなったロングボウ・フィナンス社と太いパイプがあり、2018年もシートは安泰だと考えられていたためだ。
だが、最近では今季限りでシートを失うのはウェーレインではなくエリクソンの方になりそうだとのうわさが強くなってきている。
■オーナーとのコネで決めるわけにはいかない
今年7月に前チーム代表モニシャ・カルテンボーンの後任としてザウバーのチーム代表に就任したフレデリック・バスールはドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように語った。
「オーナーとのつながりがあるからと言って、ドライバーを中心としてチームを築いていくのは間違いだよ」
「ザウバーを再編していくためには忍耐が求められる。一方で、ドライバーたちは次のレースで結果を出したいと思うのが普通なんだ」
「だから、もし彼が来年表彰台を狙えるクルマを手にしたいと思うのであれば、ザウバーにいては問題を抱えることになってしまうだろう。マーカスとチームにとって何がベストなのかということについて、オーナーたちと話し合うことになる」
■残留の可能性が高まったウェーレイン
そうなると、今季限りでザウバーのシートを喪失する可能性が高いと言われていたウェーレインが2018年も残留する可能性が高くなりそうだ。
「もちろん、彼にはチャンスがある」
そう述べたバスールは、次のように続けた。
「パスカルは我々の置かれている状況が分かっている。そして私も彼の技術を知っている。DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)で一緒にやっていたからね」
「もしチームを再編したいと思うのであれば、単に速いだけでなく、チームとともに頑張り、チームを正しい方向へ導いていきたいと考えるドライバーが必要なんだ」
■近日中にフェラーリとドライバー問題の交渉
そうしたバスールのコメントからは、来季のザウバーはウェーレインとフェラーリ育成ドライバーのいずれか1人がコンビを組むことになる可能性が膨らんできていることがうかがえる。バスールもフェラーリからドライバーを受け入れる可能性を認め、次のように続けた。
「数日中にこの件についてフェラーリと話し合うことになる」
「我々としてはエンジンの選択問題が最優先であり、それとドライバー問題をからめたくはなかったんだ。そうしていたらもっと時間がかかっていただろう」
少し前に別のインタビューにおいて9月末までには来季のドライバー体制を確定させたいと語っていたバスールは、次のように付け加えた。
「これから、落ち着いてそう(ドライバー検討)する機会が持てるよ」
■エリクソンはウィリアムズにアプローチ?
一方、今季限りでザウバーのシートを失う可能性が高くなってきたエリクソンだが、うわさではウィリアムズのシート獲得を視野に入れていると言われている。
だが、ウィリアムズにはロバート・クビサ、ポール・ディ・レスタ、ジョリオン・パーマー(ルノー)などが働きかけをしていると言われている。
2014年にケータハムでF1デビューして以来、これまでに獲得したポイントはザウバーに移籍した2015年に稼いだ9ポイントだけという実績しか持っていないエリクソンは厳しい局面に置かれてしまうことになりそうだ。