来季ザウバーのシートを喪失する可能性が高いと見られているパスカル・ウェーレインだが、ひょっとするとザウバーよりも強いチームに移籍できる可能性が残されているかもしれない。
■ザウバーのシート喪失が確定的なウェーレイン
当初来季はホンダからパワーユニット供給を受けることになっていたザウバーだが、前チーム代表のモニシャ・カルテンボーンが失脚し、その後昨年ルノーでチーム代表を務めていたフレデリック・バスールがその後任として迎え入れられた。
バスールは即座にホンダとの契約白紙化に動き、来季以降もフェラーリからパワーユニットの供給を受けることを決定。これを機にこれまで以上にフェラーリとの関係強化が進むと見られているザウバーでは来季フェラーリ所属の若手ドライバーであるアントニオ・ジョビナッツィもしくはシャルル・ルクレールをマーカス・エリクソンのチームメートに登用することになるだろうと言われている。
そうなれば、メルセデス所属ドライバーであるウェーレインはシートを失ってしまうことになり、最近までの状況では来季のF1シート獲得は事実上困難だろうと見られていた。
■もうひとつの可能性が残されているとメルセデスのボス
だが、F1ベルギーGP(第12戦)が開催されたスパ・フランコルシャンにおいて、エグゼクティブディレクターとしてメルセデスAMGを率いるトト・ヴォルフがウェーレインに関して次のように語っていた。
「私の意見だが、まだかなりの部分がパスカルにかかっていると思う。彼はザウバーでもっといい成績を残すこともできる」
今季現時点でザウバーが獲得した5ポイントはすべてウェーレインによるものだ。チームオーナーとの関係も深く、来季も続投間違いなしと見られているチームメートのエリクソンはいまだノーポイントとなっている。
ヴォルフは、次のように続けた。
「恐らく、このチームのドアは来季に向けて閉じられてしまうことになるだろう。彼らにはフェラーリとの密接な関係があるからね」
「だが、同時に少なくともあとひとつ可能性のある選択肢が残されているよ」
■フォース・インディア移籍の可能性が拡大?
ヴォルフが示したもうひとつの可能性とはフォース・インディアを指しているのではないかと考えられている。現在メルセデスパワーユニットを使用しているフォース・インディアではやはりメルセデス所属ドライバーであるエステバン・オコンがドライバーを務めている。
ベルギーGP決勝ではそのフォース・インディアのオコンとセルジオ・ペレスが2度も同士打ちを演じてしまい、ドライバー同士の関係が非常に悪化してきている。
事実フォース・インディアでは来季、もしくは今季中にもドライバーを交代させる可能性も示唆しており、その場合シートを失うのはペレスの方だろうとも示唆されている。
つまり、今後の成り行きによっては、22歳のドイツ人ドライバーであるウェーレインがペレスに代わって来季フォース・インディアのシートを獲得するチャンスが残されているかもしれないのだ。