フェラーリ会長のセルジオ・マルキオンネが、今後ザウバーがフェラーリのジュニアチームに近い存在にしていきたいと語った。
これまで、フェラーリと強力な技術提携契約を結んで2016年にF1デビューを果たしたアメリカのハースが事実上のフェラーリのBチーム的存在だと言われていた。
だが、ハースでは早々と2018年も現在のロマン・グロージャンとケビン・マグヌッセンのドライバーラインアップを変更しないと発表。これはジュニアドライバーであるアントニオ・ジョビナッツィ(フェラーリ/控えドライバー)やシャルル・ルクレール(ハース/開発ドライバー)にF1デビューの道を備えたいと考えていたフェラーリにとっては大誤算だったに違いない。
■ザウバーへのPU供給継続が決まったフェラーリ
少し前までは、今季までフェラーリからパワーユニットの供給を受けていたザウバーは2018年からホンダに乗り換えることが決まっており、今週ハンガロリンクで行われるテストに参加することが決まっている日本人ドライバーの松下信治がホンダの支援のもとに来季ザウバーのシートを獲得するのではないかともうわさされていた。
だが、先週その方向性に大きな変化が生じた。ザウバーがホンダとの契約を白紙に戻し、2018年以降もフェラーリからパワーユニット供給を受けることが決定したのだ。
これにより、2018年にジョビナッツィやルクレールがザウバーのシートを獲得できるチャンスが大きく広がったのは確かだろう。
■ザウバーを若手ドライバー訓練の場に
先週末にF1ハンガリーGPが開催されたハンガロリンクを訪れていたマルキオンネは次のように語った。
「ザウバーにエンジンを供給するのは、我々の若手ドライバーたちのためのジュニアチーム的なものを作る手段でもある」
「我々のところには2人の素晴らしい若手がいる。だが、将来的にフェラーリで走らせるためには、彼らをどこかで鍛えるチャンスが必要なんだ」
「我々は彼らの居場所が必要だ。だからそれ(ザウバーのジュニアチーム化)は素晴らしいアイデアだし、我々はそれに取り組んでいるところだよ」
「マウリツィオ・アリバベーネ(フェラーリ/チーム代表)がこのプロジェクトに懸命に取り組んでいる。それに、リバティ・メディア(F1オーナー)との合意に基づいて、我々はエンジンの供給先を増やすことになるからね」
■来季ザウバーのシートを得るのは?
だが、ザウバーのマーカス・エリクソンにはチームオーナーとも関係の深いスポンサーがついていることもあり、来季もシートは安泰だと見られている。となれば、来季ザウバーの空きシートはひとつだけということになる。
ジョビナッツィとルクレールのうち、どちらがそのシートを獲得することになるのかはまだ分からない状況だ。だが、現状では今季序盤に負傷欠場したパスカル・ウェーレインに代わってザウバーから2レースに出走し、イギリスGP以降7レースでハースから金曜フリー走行1回目に出走するジョビナッツィが一歩リードしているのは確かなようだ。
「ジョビナッツィは我々にとって素晴らしい仕事をしたと聞いているよ。金曜日にここ(ハース)で運転し、金曜日の夜にはまたシミュレーターで作業を行っているんだ」
そう語ったマルキオンネは、ほほ笑みを浮かべながら次のように付け加えた。
「彼はクルマのバランス取りに間違いがなかったかどうかを確認するために遅くまで頑張っていた。彼はここ(ハンガリー)でまた我々に合流したが、私には彼が良い疲れ方をしているのが分かるよ」
だが、期待のジョビナッツィはハンガロリンクでの金曜フリー走行1回目ではわずか8周でクラッシュしてしまい、ケビン・マグヌッセンのクルマに大きなダメージを与えるという汚点を残してしまった。
一方、ルクレールは今季のF2選手権で圧倒的な強さを見せてポイントリーダーとなっており、もしこのままタイトル獲得ということになれば、ルクレールの方が先にF1のフルタイムドライバーに昇格するという可能性も出てきそうだ。