今年からドイツが誇るレースシリーズであるDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)の責任者に就任した元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーに厳しい試練が訪れることになるかもしれない。
■寝耳に水だったメルセデスの発表
これまでDTMに参戦を続けてきたメルセデスが24日(月)、2019年からフル電動フォーミュラカー選手権であるフォーミュラEに参戦するため、2018年限りでDTM活動からは撤退することを発表した。
かつてフェラーリやマクラーレンで活躍した経歴を持つ57歳のベルガーは、ドイツの『Auto Bild(アウト・ビルト)』に対し「そのニュースを聞いたときには棒でたたきのめされたような気がしたよ」と語っている。
たしかに、DTMにとってメルセデスの撤退は非常に大きな問題だ。メルセデスが抜けてしまうのはアウディとBMWだけになってしまうためだ。
DTMの広報担当者は「我々はスポーツおよびフェアな精神で、メルセデスの決断を尊重する必要がある」と語ったものの、アウディのDTM責任者であるディーター・ガスは「(メルセデス撤退が)このレースシリーズにどういう結果をもたらすかは、今は予測できないよ」と語っている。
■フォーミュラEへの転向は時代の要請?
だが、メルセデスのモータースポーツ責任者であり、F1のメルセデスAMG最高責任者でもあるトト・ヴォルフは、DTMを撤退することに決めたのは「時代が違う方向へと向かっているからだ」と説明している。
これに対し、ベルガーは『DPA通信』に対し、「メルセデスは2018年末まで長いリードタイムを設けて発表を行ってくれた。これによりITR(DTM統括団体)には状況を分析し、将来に向けて生き残るためのコンセプトを推し進める時間が取れる」と語り、次のように付け加えている。
「DTMは世界でも非常に重要なツーリングカーシリーズだからね」