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「ヘイローは絶対に間違いだ」とニキ・ラウダ ファンも8割近くが反対

2017年07月21日(金)17:12 pm

F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)が、今週開催されたF1の意思決定機関ストラテジー・グループでの話し合いの結果、2018年から「ヘイロー(HALO)」と呼ばれるコックピット保護装置をF1カーに導入することが決定したと発表した。

■ドイツメディアの調査では80%近くのファンが反対

だが、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌が読者に対してアンケートを行ったところ、78%のファンがこれに反対であるとの回答が得られたという。

伝えられるところによれば、実際にヘイロー導入に賛成票を投じたF1チームはフェラーリだけだったという。どうやらF1チームの思惑よりも、FIAの意志が今回の決定には大きく反映されていたようだ。

■ヘイロー選択は間違いだとニキ・ラウダ

実際のところ、メルセデスAMGとレッドブルのチームの首脳たちが相次いでヘイロー導入を決定したことに対する反論を展開している。

伝説的な元F1ドライバーであり、現在はメルセデスAMGの非常勤会長を務めるニキ・ラウダは次のように語った。

「これは絶対に間違いだよ」

「可能な限り安全面の改善を行う必要があることは当然だ。だが、我々はヘイローを試し、レッドブルのエアロスクリーンを試し、最近はフェラーリがシールドのテストを行った。それらの中で100%納得できるものはひとつもなかった。ヘイローを選ぶのは間違いだよ」

■ヘイローはF1のDNSを破壊する

ラウダはヘイローの欠点のひとつにドライバーの視認性悪化があげられるものの、それ以上に本質的な問題を抱えていると次のように続けた。

「見た目の悪さは致命的だ。ヘイローはF1カーのDNSを破壊してしまう」

「FIAは可能な限りF1を安全なものとしてきたし、ホイールが飛んでしまう危険はほぼなくなっている。クルマから脱落しないようになっているからね。おかげでドライバーたちのリスクは最小限のところにまできているんだ」

■F1魅力アップ対策にも逆行する

さらに、ラウダはF1にリバティ・メディアという新オーナーが誕生し、F1をさらによいものへ変えていこうとしているときにヘイロー導入を決めるのはタイミング的にも最悪だと次のように続けた。

「今年のクルマは速くなっているし、我々と観客の距離も縮まり、新しいファンを魅了しようと努めている。それなのに、過剰反応(ヘイロー導入)によりそれを破壊しようとしているんだ」

「ヘイローよりも100%よい対策もあるはずだ。そうでなければ我々は3種類も試したりはしなかったはずだ。だから、最も納得がいく方法は、現在の研究を継続し、見た目にも悪くないものを見つけることができれば、それを2019年に導入するということだよ」

「単純な話さ。後で悔やむ可能性があるものを慌てて導入する必要なんてないんだ」

■逆にドライバーを危険にさらす可能性も否定できない

また、レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコも今回のFIAの決定を好ましく思っていない。

「この決断はF1のDNAに反するものだ」

ドイツの『Bild(ビルト)』にそう語ったマルコは、次のように付け加えた。

「技術的にもまだ成熟したとは言えない。もしけがを負ったドライバーを救出しなくてはならない場合、あるいはクルマが火災を起こした場合などに関してまだ明確なガイドラインはないし、コックピットが今よりもさらに危険になる可能性すらある」

■FIAの立場にも一定の理解を示すメルセデスAMG

メルセデスAMGを率いるトト・ヴォルフ(エグゼクティブディレクター)は次のように語った。

「私はヘイローに関しては懐疑的だよ。だが、安全という観点からは、ジャン・トッド(FIA会長)の決断にも理解はできるがね」

■いい面もあるとGPDA会長

F1関係者やファンの中にはヘイロー導入に対して反対の立場に立つ者が多いようだが、F1ドライバーたちが安全面などについて検討するために組織されている任意団体GPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)の会長を務める元F1ドライバーのアレックス・ブルツは、ツイッターを通じてファンに次のように呼びかけている。

「カッコいいと言えないのは明らかだ」

「だが、いいことだってある。クルマがより安全になるということは、今後はもっと速くて激しいレースを行うことが可能になるというふうに考えて欲しいんだ」

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