予想されていた通り、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)が先週末に行われたF1アゼルバイジャンGP決勝中に故意にルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)のクルマに自分のクルマをぶつけたと見られているセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)の行為についてあらためて審議を行うことになった。
【動画:問題のシーン公開】ベッテル「いつ危険なドライビングをした?」/F1アゼルバイジャンGP
FIAは、「さらなる罰則が必要かどうかを判断するために、あの事故が起きた原因の検証を行う」としており、その日程が7月3日(月)に定められたことを明らかにした。
■ベッテルの追加審議決定の背景にはこれまでの経緯も?
ベッテルは昨年のF1第19戦メキシコGP決勝でも、レース中にFIAのF1競技委員長であるチャーリー・ホワイティングをののしるような無線通信を行っており、そのときも2ペナルティーポイントを科されたという“前科”がある。
今回のアゼルバイジャンでの行為については、すでにレース中に10秒間のストップ・アンド・ゴーが科せられ、それに加えてペナルティーポイントが3ポイント付加されている。
しかし、FIA会長のジャン・トッドは、これまでの経緯からみてもベッテルにはもっと重い処分を下す必要があると考えているのではないかと伝えられている。
■30歳の誕生日を聴聞会で迎えるベッテル
7月3日に行われるベッテルの審議結果は遅くとも来週末に行われるオーストリアGP(7日開幕/9日決勝)の開幕前に決定の上発表されることになるようだ。現在のうわさでは、1レースの出走禁止処分が言い渡される可能性が高いのではないかとも言われている。
くしくも7月3日はベッテルの30回目の誕生日でもある。FIAがベッテルにどういう誕生日プレゼントを与えることになるのか、注目が集まるのは間違いないだろう。
メルセデスAMGを率いるトト・ヴォルフ(エグゼクティブディレクター)は、もうこの件についてはこれ以上の審議などは不要であり、もう忘れるべきだとのコメントを行っていたが、非常勤会長を務めるニキ・ラウダの考えは違うようだ。
■自分の非を認めないのが問題だとラウダ
現役時代には3度F1チャンピオンとなった伝説的元F1ドライバーでもあるラウダは地元オーストリアの『Osterreich(エステルライヒ)』に対し、ベッテルの行為は「信じがたいものだった」と語り、次のように続けた。
「さらに悪いことは、ベッテルが何の責任もとらなかったということだ。彼の場合、いつもそうだがね」
「私はルイスの怒りが理解できるし、私も本当に怒りを感じているよ。なぜ彼(ベッテル)は“あれは自分のミスだった。僕が台無しにしてしまったよ“と言えなかったんだろうね?」
そう語ったラウダは、アゼルバイジャンでベッテルに科されたペナルティーは「冗談」だとも吐き捨てており、FIAがこの件をあらためて審議することにしたのは当然だと考えているようだ。