先週末に行われたF1アゼルバイジャンGP決勝でライバルのルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)のクルマにわざと自分のクルマをぶつけたセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)にはすっかり悪者のイメージが付いてしまったようだ。
【動画:問題のシーン公開】ベッテル「いつ危険なドライビングをした?」/F1アゼルバイジャンGP
■ベッテルは10代の若者のようにキレてしまった
国際的なメディアもほとんどがベッテルの行為を非難している。
例えば、フェラーリを擁するイタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』は、「ベッテルは平常心を失っていた」と指摘。
同じイタリアの『Corriere dello Sport(コリエーレ・デロ・スポルト)』も「ベッテルはまるでティーンエージャーのようにキレてしまった」と書いている。
■ハミルトンにも問題はあったとする声も
だが、ハミルトンの方にも問題はあったと指摘しているメディアもないわけではない。
イタリアの『Corriere della Sera(コリエーレ・デラ・セラ)』は次のように報じている。
「2人のスタードライバーたちはどちらもわがままな道路利用者のように振る舞った。彼らの関係は今後まったく違うものとなってしまうだろう」
さらに、レッドブルのドライバー育成責任者であり、ベッテルを2010年から4年連続でのF1タイトル獲得に導いたヘルムート・マルコも、ハミルトンにも問題があったと次のように語った。
「ハミルトンがベッテルに対してブレーキテスト(急激にブレーキをかけて後続車のリズムを狂わせる行為)を行ったんだ。ベッテルは怒り、その仕返しを行った」
「そしてメルセデスAMGがハミルトンのヘッドレストを正しく装着しなかったことで、正義のバランスがとられたんだ」
ベッテルには統括団体FIA(国際自動車連盟)のレース競技委員によって10秒間のストップ・アンド・ゴーがペナルティーとして科せられた。
ところが、ハミルトンのマシンには、コックピットのヘッドレストが走行中に浮き上がるというトラブルが発生。これを修復するためにピットインを余儀なくされたハミルトンは、結果としてベッテルに先行を許すこととなっていたのだ。
■人間味があっていいことだとマルコ
一方、誰の目にもわざとクルマをぶつけたベッテルの行為は暴挙と映ってもおかしくないものだったが、どうしてそのことを責めようとしないのかと質問されたマルコは、「あれはセーフティカー導入のもと、非常に低速走行しているときに起きたものだったからだ」と語り、次のように付け加えた。
「そして、レーシングドライバーにだって感情はある。我々はよろこぶべきだよ。我々には血の通わないルールではなく、人間としての感情が必要なんだからね」