NEXT...F1開催スケジュール

新たな確執発生!ベッテルとハミルトンのクラッシュ

2017年06月27日(火)5:30 am

バクーで行われたF1アゼルバイジャンGP決勝において、セーフティカー導入時にわざとルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)のクルマに自分のクルマをぶつけたセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)に非難の集中砲火が浴びせられている。

【動画:問題のシーン公開】ベッテル「いつ危険なドライビングをした?」/F1アゼルバイジャンGP

セーフティカーが導入されたバクー市街地コースをトップのハミルトンの後ろで走行していたベッテルだが、コーナーの立ち上がりでスピードをゆるめたハミルトンのクルマに追突してしまった。

■公道なら逮捕ものだとデーモン・ヒル

ベッテルは、そのときハミルトンが後ろにいる自分のリズムを乱させるためにわざとブレーキをかけたのだと受け止め、ハミルトンのクルマの左側に自分のクルマを並べ、手を上げて抗議の姿勢を示すと自分のクルマをハミルトンのクルマに横からぶつけてしまったのだ。

1996年のF1チャンピオンであるデーモン・ヒルは、この事件に関して『Times(タイムズ)』に次のように語った。

「一般道であんなことをやったら逮捕されていただろうね」

■出場禁止まであと3ポイントとなったベッテル

その後、ベッテルにはその行為に対するペナルティーとして10秒間のストップ・アンド・ゴーが科されるとともに、ペナルティーポイントが3ポイント与えられている。これでベッテルは過去12か月内のペナルティーポイントが合計9ポイントに到達してしまった。

仮に次戦オーストリアGP(7月9日決勝)でまた3ポイントのペナルティーが科されるようなことがあれば合計12ポイントに達してしまい、ベッテルはその次のレースが出場禁止となってしまうという状況を迎えている。

ちなみに、ペナルティーポイントは過去1年間の累積が12ポイントに達すると次のレースが出場禁止となる。ベッテルは2016年7月10日に行われたイギリスGPで2ポイントのペナルティーを受けているため、次戦オーストリアGPで何のペナルティーも受けなければ、その2ポイントが消え、累積では再び7ポイントに減ることになる。

■ベッテルはなぐられても当然だとラウダ

一方、もうひとりの当事者であるハミルトンも当然今回のベッテルの行為には腹を立てており、レース後にもしまたベッテルが同じようなことをやるのなら、そのときは面と向かってやるべきだとコメント。

ハミルトンのボスであるメルセデスAMG非常勤会長のニキ・ラウダも、「ルイスはいつか彼(ベッテル)をなぐるだろうね。クルマではなくこぶしでね」と怒りを隠せない状況だ。

■クルマをぶつけたことを認めないベッテル

だが、その一件についてレース後に質問を受けたベッテルは、自分が故意にハミルトンにクルマをぶつけたという事実については言及しようとしなかった。

「僕は腕を高く上げて見せるために彼の横に行ったんだ。僕はあれ(ハミルトンの減速)は正しいことではなかったことをはっきりさせたかったからね」

そう語ったベッテルは、あれはわざとやったのかと質問されると、次のように答えた。

「わざと腕を上げたのかってこと?」

その後も取材記者たちは何度もあのときの接触についての質問を行ったが、ベッテルは接触したという事実についてさえ認めようとはしなかったという。ベッテルはただ、ハミルトンがレースの世界では「ブレーキテスト」と呼ばれる急激な減速を行ったのだとの主張を繰り返すだけだったと報じられている。

■FIAデータはハミルトンに軍配

だが、そのベッテルの主張にもかかわらず、統括団体であるFIA(国際自動車連盟)が明らかにしたデータによれば、ハミルトンはセーフティカーが導入されている間、コンスタントにブレーキに熱を入れる動作を行っており、ベッテルに追突されたときも意図的にそれまでよりも強くブレーキを踏んだということは認められなかったという。

ベッテルはその後もドイツの『Bild(ビルト)』に対して次のように語った。

「僕たちはレースをしているけれど、もう大人なんだ。僕たちは幼稚園にいるわけじゃない」

「僕たちには懸命に戦うためのレースが期待されているんだ」

ハミルトンは、これからF1を目指そうとしている若いドライバーたちにとってベッテルのあの行為はあしき前例になるだろうと語ったが、FIAがベッテルに対してさらに重いペナルティーを科す可能性もあると考えている者もいるようだ。

メルセデスのある関係者は、「イギリスではわざと事故を起こしたドライバーには1年間の出場禁止が言い渡されるんだ」と語ったと伝えられている。

■ベッテルを責めるべきではないとフェラーリ

一方で、フェラーリは当然ながらベッテルの擁護に回っている。フェラーリの広報責任者であるアルベルト・アントニーニは今回の件について次のように語った。

「誰もが何が起こったのかを見ていた」

「ルイスにはあれほどスピードを落とす必要はなかった。セブ(ベッテルの愛称)は責められないよ」

■メルセデスにレースを台無しにされたとフェラーリのボス

さらに、チーム代表のマウリツィオ・アリバベーネもバクーでのレース開始早々に起きたバルテリ・ボッタス(メルセデスAMG)とキミ・ライコネン(フェラーリ)の接触事故にも言及しながら次のように付け加えた。

「ボッタスとキミに起こったこと、そしてその後セバスチャンに起こったことに関しては、私はこう言いたいよ。これはF1ではなく格闘技大会なのか?とね」

「だが、我々は文句を言おうとは思わない。そういうのは我々のスタイルではないからね」

アゼルバイジャンGP決勝では、スタート直後の1周目にライコネンがボッタスよりも前でターン2に進入したものの、その内側を走っていたボッタスが縁石に乗ってコントロールを失ってライコネンに衝突。これによってフロントタイヤをパンクさせたボッタスも大きく順位を下げたが、ライコネンもリヤエンドに大きなダメージを負ってしまい、その後ペースを上げることができなくなっていた。

フェラーリとしては、メルセデスAMGの2台との接触がなければ、もっといい成績で終わることができた可能性もあったわけだ。

一方、ラウダが激しくベッテルを批判したことについて質問されたアリバベーネは、次のように答えている。

「ラウダには自分の言いたいことを言う権利がある。我々は平静を保ち、仕事に打ち込みたいと思う」

■ベッテルとハミルトンに新たな確執誕生か

ともあれ、今回の一件でベッテルとハミルトンによる今年のF1タイトル争いが仁義なき戦いに発展する可能性もありそうだ。

怒りが収まらないベッテルが数日中にハミルトンに電話をするつもりだと語ったことを伝え聞いたハミルトンは次のように答えた。

「彼は僕の番号なんか知らないと思うよ」

前後の記事
最新ニュースをもっと見る  >
TopNewsの最新ニュースが読めるよ!
facebookフォロー Twitterフォロー RSSでチェック