今季はフェラーリが過去3年間にわたって最強を誇ってきたメルセデスAMGを上回るパフォーマンスを見せている。
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■今季のフェラーリ躍進の秘密は?
だが、中にはF1公式タイヤサプライヤーであるピレリが意図的にフェラーリに有利なタイヤを供給しているのではないかとの疑いの目を向けている者もいる。
昨年念願のF1ドライバーズタイトルを獲得した直後に引退したニコ・ロズベルグも、『Sky Italia(スカイ・イタリア)』にこれほどフェラーリが強くなった理由が分からないと次のように語った。
「完全にメルセデスAMGとフェラーリの戦いだね」
「フェラーリがどうやって反撃に転ずることができたのかは分からないよ。とりわけ、昨年まで彼らはかなり差をつけられていただけにね」
■タイヤは誰にとっても同じものだとピレリ
そうした中、ピレリの最高経営責任者であるマルコ・トロンケッティ-プロベラが、「フェラーリが強いのはF1にとってよいことだ」とコメントしたことが報じられたこともあり、明らかにメルセデスAMGよりもフェラーリのほうに適したタイヤが意図的に開発され、供給されているのではないかとのうわさが強くささやかれるようになったというわけだ。
だが、トロンケッティ-プロベラはそうしたうわさを否定し、イタリアのラジオ局『RAI』に次のように語った。
「タイヤは誰にとっても同じものだ」
「メルセデスAMGは素晴らしい成功を収めてきていたが、現時点ではちょっとばかり逆風の中にいる。だが、私は彼らがすぐにまた復活してくると確信しているよ」
ここまでのところフェラーリのほうがいいパフォーマンスを発揮できている理由は何だと思うかと質問されたトロンケッティ-プロベラは次のように答えた。
「それはチームが素晴らしいクルマを造ったということに尽きるだろう。中にはこの進歩に驚いた者たちもいるようだ。だが、我々は彼らが成し遂げたことを認めるべきだよ」
■昨年から予想されていたベッテル有利
とは言え、今年のピレリタイヤがフェラーリ、特にセバスチャン・ベッテルにとって有利なものとなるだろうということは以前から言われていたことでもある。
それは、今年導入予定だった新レギュレーションに合わせたタイヤを開発するにあたり、ベッテルがそのテストに積極的に取り組んでいたという事実があるためだ。
■最大の協力をしてくれたのはベッテルだったとピレリ
今年のタイヤ開発にあたっては、昨年の8月から11月にかけてフェラーリ、メルセデスAMG、レッドブルがそれぞれ日数のテスト走行を行ってピレリに協力を行っていた。
そのとき、チームによっては控えドライバーやテストドライバーをそのテストに参加させるケースも見られたが、ベッテルは与えられたチャンスをすべて生かして積極的にピレリの開発を支援してきていた。
トロンケッティ-プロベラも、「セバスチャン・ベッテルは2017年仕様タイヤの開発のために信じられないほど真剣に取り組んでくれた」と語り、次のように付け加えた。
「ほかの多くのドライバーたちはそうではなかったが、彼(ベッテル)は常に我々に協力してくれたよ」
かつてレッドブルでベッテルのチームメートを務めていた元F1ドライバーのマーク・ウェバーは、『Auto Bild(アウト・ビルト)』に「タイヤ、それがベッテルの強みなんだ」と語っている。