2016年のF1シーズン開幕前には、メルセデスAMGからF1タイトルを奪取するとの目標を掲げていたフェラーリ。
しかし、いざシーズンが始まってみれば、メルセデスAMGとの差を縮めるどころか、逆にレッドブルにも追い抜かれ、コンストラクターズランキングは前年の2位から3位へと後退してしまった。
元F1ドライバーであり、現在はF1解説者を務めているマルク・スレールは、今季フェラーリがふるわなかった原因を3人の関係者とからめて分析している。
■フェラーリ会長のやり方はF1では通用しない
まず、スレールが最初に名指ししたのはフェラーリ会長のセルジオ・マルキオンネだ。スレールはドイツの『Speedweek(スピードウィーク)』に対し、マルキオンネはあまりにも好戦的過ぎると次のように語った。
「彼は、いいサッカーチーム監督にはなれたかもしれない。だが、F1では常に選手を蹴(け)りあげるようなやり方は通用しないよ」
「F1は高度な分析が必要なスポーツなんだ。マルキオンネはそこが分かっていないよ。彼は “我々はこうしなくてはならない、ああしなくてはならない”と繰り返し言っているが、F1はそんな風には機能しないんだ」
■アリソンを失ったのは明らかな失敗
次にスレールが挙げた名前は、妻が突然他界したことにより2016年シーズンの途中でチームを離脱し、母国イギリスへと戻ったジェームス・アリソン(元テクニカルディレクター)だ。
「恐らく、今年は彼ももはや集中することはできなかっただろうし、エンジニアたちはかじ取りがいない状況に置かれてしまった」
「私は、彼を去らせてしまったことは明らかな間違いだったと思っている。パートタイムであっても、アリソンがいたほうが、まったくいなくなるよりもよかったはずだ」
■ベッテルの短気は「理解不能」
そして、スレールは最後に2015年にレッドブルから移籍してきたセバスチャン・ベッテルの名前を挙げ、今年ベッテルが何度か見せた短気な態度は「理解しがたいものだった」と語った。
■唯一の期待はロリー・バーンが監修した2017年型車
スレールは、フェラーリには2017年もあまり期待できそうにないとしつつ、次のように続けた。
「唯一の希望は、ロリー・バーン(有名なF1カー設計者)が2017年型車に関してもコンサルティングをしてきており、それが成功するかもしれないということだ。彼はものすごい天才だからね」