現役時代に4度F1王座に輝いたアラン・プロストが、18歳でF1初優勝を成し遂げたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)を称賛した。
■フェルスタッペンの優勝には恐ろしさを感じるほどだった
F1通算51勝の記録を持ち、かつてマクラーレン・ホンダでアイルトン・セナと伝説的なライバル関係にあったプロストは、前戦F1スペインGP(第5戦)で最年少F1優勝記録を更新したオランダ人ドライバーのフェルスタッペンについて次のように語った。
「バルセロナで目にしたのは驚くべきことだった」
「彼が4歳でカートを始め、それから自分の人生をほぼレースのために費やしてきたことを考えれば、ちょっと恐ろしくなるほどだよ」
■どんどん若年化していくF1
「私の時代には、自動車運転免許を取ってから初めてレースができたものだった。私が初めてF1でレースをしたのは25歳のときだったが、今日ではもはやお払い箱になってもおかしくないくらいの年だ」
「私はときどき彼と話をするのだが、彼が18歳にしてすでに持っているレース経験の多さは信じられないほどだ。彼は18歳にして、すでに経験のあるドライバーのわざをすべて理解しているんだからね」
「私やセナの時代が(ミハエル)シューマッハと(フェルナンド)アロンソに引き継がれ、それが(セバスチャン)ベッテルへと引き継がれ、そして今度はマックスだ。これらには常に同じ方向性があった。それは、ドライバーたちがどんどん若くなっているということだ」
■若いだけではつぶされてしまうという現実も
だが、若いドライバーがすべて成功するとは限らないのも事実だ。プロストは1980年に19歳182日でF1デビューを飾り、当時のF1最年少出走記録を更新したニュージーランド人元F1ドライバーのマイク・サックウェルを引き合いに出しながら、次のように続けた。
「マイク・サックウェルがF1デビューを果たしたのは19歳のときだった。そしてほかにも1人か2人の若いドライバーがF1にやってきたが、彼らは打ち砕かれてしまった。彼らは単に若すぎたんだ」
「一方、フェルスタッペンは普通の18歳のようには見えないね」
そう語ったプロストは、ドイツの『Auto Bild Motorsport(アウト・ビルト・モートアシュポルト)』に次のように付け加えた。
「だが、今日のルールやクルマは若いドライバーでもいい仕事ができるようになっている。それは私の時代にはありえないことだった。当時は、成功を収めるためにはもっと多くの経験と走行距離が必要だったからね」
■ミス無しのフェルスタッペンに脱帽のプロスト
それでも、プロストはフェルスタッペンには非常に感銘を受けているのは確かだ。
「これまでは、あの年齢のドライバーが、彼のようにプレッシャーに耐えてみせることなど決してできなかった」
そう語った61歳となったプロストは、次のように締めくくった。
「これまで、中堅チームでは非常に強さを示していたものの、トップチームへいくとプレッシャーに苦しめられることになったドライバーたちを目にしてきた。だが、彼は(バルセロナで)週末を通じて一度もミスを犯さなかったんだ」