天才デザイナーと高く評価されているレッドブルのエイドリアン・ニューイは、メルセデスやフェラーリのように競争力のあるメーカーがF1のために譲歩する必要性を訴えている。
F1にパワーユニットを供給するメルセデス、フェラーリ、ルノー、ホンダの4メーカーは、一部のパーツを共通化してコストダウンを図り、カスタマーチームが支払う使用料を年間1200万ユーロ(約16億円)に下げることで合意したと伝えられている。
しかし、F1最高責任者のバーニー・エクレストンは、独立系のエンジンメーカーによる技術的にシンプルで安価なエンジンの導入を望んでおり、その計画をあきらめていない。
「はるかに安いコストで製造できるエンジンを手に入れるまでは、面倒が待ち受けているだろう」とエクレストンは『BBC』に語っている。
■F1全体の利益を考える必要があるとニューイ
息子ハリソンのレースをサポートするため、インドを訪れていたニューイは、『The Hindu』紙の問いかけに対し、1967年にコリン・チャップリン率いるロータスが強力なコスワースエンジンを独占的に使用していたたことを例に挙げた。
「ロータスは、このスポーツのためを考えて、ほかのチームも(コスワースエンジンを)使用できるよう、独占契約を放棄することに合意した」
「残念ながら、今ではこうした姿勢はなくなってしまったようだ」
コスワースエンジンについては、ロータスは引き続き独占使用を希望していたが、他チームへの供給を望んだフォードがそれを振り切ったという見方もある。
その後のコスワースエンジンの普及によって、マクラーレンやウィリアムズといったコンストラクターが成長した一方で、ワークスチームのF1撤退が相次いだ。
■レッドブルの将来については悲観的
2016年も引き続きルノーエンジンを使用するレッドブルだが、ニューイの展望は明るいものではない。
「2016年は、(2015年の)差を維持できれば良し、というところだ。しかし、フェラーリとメルセデスは前進するだろうから、シーズン終盤には、昨年よりさらに差を広げられてしまう可能性もある」
その理由をニューイはこう説明している。
「空力やシャシーは表に出ているから、デザインを見て解明し、真似をすることが可能だ」
「だがエンジンで争うフォーミュラでは、ライバルのエンジンを見ることができない」
「フェラーリは2014年から2015年にかけて進歩したが、それには大変な金がかかるし、大勢のメルセデスのスタッフ(を獲得すること)が必要だった」