2015年の1シーズンで、2人のトップF1ドライバーのイメージがまったく変わってしまった。
こう主張しているのは、かつてアイルトン・セナのチームメートを務めたことでも知られる元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーだ。
■明暗分かれた2015年のアロンソとベッテル
それまで5年間在籍していたフェラーリに別れを告げて2015年からマクラーレン・ホンダへ移籍したフェルナンド・アロンソは、それまで現在のF1においては最高のドライバーだとの評価を受けていた。
一方、2010年から2013年までレッドブルで4年連続してF1タイトルを獲得したのがセバスチャン・ベッテルだ。だが、当時はなぜか最高のドライバーだと評価する者はそれほど多くはなかった。そして、2014年には引退したマーク・ウェバーに代わって新たなチームメートとなったダニエル・リカルドに敗れてしまったベッテルは、2015年にはアロンソの後任としてフェラーリの赤いレーシングスーツを身にまとうことになった。
だが、その2015年シーズンは、両者にとって対照的なシーズンとなった。23年ぶりに復活したマクラーレン・ホンダに移籍したアロンソはポイントを取ることにさえ苦労する状況を迎えてしまった。
逆に、フェラーリに移籍したベッテルは水を得た魚のように生き生きとした活躍を見せ、メルセデスAMG以外のドライバーで唯一表彰台の真ん中に3度立ってみせた。
■アロンソは忘れられようとしている
「3年前には、誰もがアロンソが最高だと言っていたよ」
そう語ったベルガーは、次のように続けた。
「だが、今ではそうは言えないよ」
「彼はそれを証明することができずに終わったし、結局、彼がかつてどれほど素晴らしいドライバーであったかということも忘れられてしまった」
一方で、ベッテルの方は、かつてフェラーリで5年連続F1タイトルを獲得したミハエル・シューマッハの後継者だとの評価を得るに至っている。
■ベッテルはシューマッハに通じるところがある
かつてフェラーリでも活躍したことのあるベルガーは、「まさにその通りだ」とうなずいて次のように続けた。
「ベッテルはミハエルと非常によく似た方法論を持っているし、それがフェラーリにはすごくよく合うんだ」
「私もフェラーリにいたころにそうしたことを経験したが、(ニキ)ラウダやシューマッハ、あるいはベッテルと同じようなことはできなかったよ。彼ら(フェラーリ)は、うまくそのイタリア人気質をリードしてくれる者がいると非常にうまくやれるんだ」
もしそうだとすれば、2010年から5年間在籍するも一度もF1タイトルに手が届かなかったばかりか、チーム内での不和もたびたび指摘されていたアロンソは、そもそもフェラーリには合わない存在だったのかもしれない。
そのことについてどう思うかと尋ねられたベルガーは、次のように答えた。
「間違いだったとは言わないよ。だが、正解でもなかったね。それは、単に彼の仕事への取り組み方が違うためさ」