イギリスの『The Sun(サン)』が、FIA(F1統括団体である国際自動車連盟)は、2017年からF1カーのコックピットに“ハロー”と呼ばれる輪状の保護装置導入を進める計画をしていると報じた。
このハロー方式保護装置は、メルセデスAMGが開発提案したものだ。キャノピーのようにコックピットを完全にふさぐわけではないが、ドライバーのヘルメットの周囲を透明の強化プラスチック状のもので囲む形となり、前方から飛来する障害物や、ウォールなどにクラッシュした際にドライバーの頭部がそれらの直撃を受けることを避けることができると考えられている。
最近、F1ドライバーによる任意団体であるGPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)の会長を包める元F1ドライバーのアレックス・ブルツが、F1ドライバーたちが全員一致で、コックピットに何らかの保護対策を「至急導入すること」を要請することに合意したと語ったことが大きく報じられていた。
今回のニュースはこれを受けて、FIAが速やかに対策を講じる動きに出たことを示すものだ。
だが、以前からコックピットにキャノピーを設けることには反対の立場であることを公言していたF1最高責任者のバーニー・エクレストンは、スキーのワールドカップを視察していたオーストリアのキッツビューエルで『Tiroler Tageszeitung(チロラー・ターゲスツァイトゥング)』に次のように語った。
「みんなは少しばかり危険なものを見るのが好きなんだ」
「もしサーカスで地面からほんの数インチのところで綱渡りをしていたって誰も見にいかないよ」
「だが、我々がF1で講じてきた安全対策は(ほかとは)比べ物にならないよ。事故に遭うときの乗り物を選べるとしたら、誰もがF1カーを選ぶだろうね」
そう語ったエクレストンは、次のように付け加えた。
「F1のドライバーたちは大きな事故に遭っても、自分でシートベルトをはずしてクルマから降りることができる。それはいいことだよ」