メルセデスAMG代表のトト・ヴォルフは、1チームが圧勝する状況はF1にとって望ましくないと語っている。
この2年間、メルセデスAMGはF1を支配しており、チャンピオン争いは実質チームメート同士の戦いだった。ヴォルフは、『Daily Mail(デイリー・メール)』紙のインタビューで次のように語っている。
「われわれの支配はF1にとって良いことではない。レースが退屈になってしまう」
「支配的な陣営になったとたん、チームもブランドも苦しむことになる。ダークサイドの陣営(フォース)とみなされるからだ」
スターウォーズを引き合いに出したヴォルフは、さらにこう続けた。
「レッドブルでさえ同じだった。このスポーツに加わったとき、彼らはジェダイだった」
「しかし、4年連続でタイトルを取って、共感できないブランドと見られるようになっていった。絶対的支配を望む者は誰もいない」
■ショーのためだけならドライバー独自の戦略を許す方法も
「従って、支配は続けたいが、こうした状況が続いた場合、敵役にならないために何をすべきか、ショーとしての盛り上がりを手助けするためにできることはないかと考える必要が出てくる」
「彼ら2人(ハミルトンとロズベルグ)を完全に解き放つのも手かもしれない。それぞれ独自の戦略でやらせるんだ。それは1つの解決方法になるだろう」
しかし、ドライバー同士の戦いがエスカレートし、チーム分裂につながる危険性があるとヴォルフは指摘している。
「今年は、彼らにコース上で自由に戦わせるという、リラックスしたアプローチを選んだ。来年は新たな局面に進むかもしれない。それは抑え込みたい」
「チーム内での争いは困る。ボクサーには戦ってもらいたいが、トレーナーなどリングの周囲にいる全員まで戦うのは望ましくない」
「ボクサーにはボクサーらしくあってほしい。激しく戦うが、戦い終わったらスポーツマンらしく相手と抱擁するんだ」
「だが、ジレンマではある。理論を口にするのは簡単だ」
■ナンバー1ドライバーを決めるのは次善の策
ヴォルフは、ドライバー同士の関係が悪化した場合の対策を次のように語った。
「もしコース上だけとか、メディアに大げさに話すとかといった程度で済まなくなったら、その解決策は、マクラーレンやレッドブルやフェラーリでそうしたように、ナンバー1とナンバー2を決めることだ」
「それは次善の策だ。私は今のまま続けたい。F1にとっては、2人の間に火山が噴火するような事態が起きる必要があるのかもしれないけれどね」
「ルイスとニコは間違いなく来シーズンも組む。彼らは少し変えなければならない点を受け入れた。われわれはたくさん話し合うようにしている」
ドライバーに難しいことを求めていることはヴォルフも承知している。
「クルマに乗る2人にとっては非常に難しい課題だよ」
「チームスピリットを大事にしなければならないが、と同時に、相手を出し抜かなければならないんだからね」