フェラーリのキミ・ライコネンが、長時間にわたって予選の実施が遅れ、結局翌日に延期となったF1アメリカGPの土曜日(24日)のことについて語った。
オースティンで行われたアメリカGPだが、大型ハリケーンの接近により、週末を通じて悪天候に悩まされていた。本来であれば土曜日の現地時間13時に開始されるはずだった予選は、予定の時刻になっても開始されず、結局3時間が経過した時点で翌日へ延期されることが発表された。
その間、サーキットやテレビの前で予選開始を待ち続けているファンのために、チームやドライバーたちによるさまざまな即席アトラクションが展開されていた。
ピットレーンを川に見立ててボートをこぐまねをしてみせるメカニックたちもいれば、レッドブルのダニエル・リカルドとダニール・クビアトは手をつないで即興のダンスを披露。メルセデスAMGのニコ・ロズベルグがテレビカメラマンたちとともにサッカーボールのリフティングを行えば、トロロッソのガレージでは元F1ドライバーのヨス・フェルスタッペンと、伝説的ラリードライバーであるカルロス・サインツが、それぞれの息子のドライビングスーツとヘルメットを身につけてコックピットに収まるという演出を行っていた。
そのほかにも、ファンのためにさまざまなアトラクションが演じられ、テレビカメラがそれらの光景を紹介していた。しかし、フェラーリのガレージがカメラで紹介されることはほとんどなかった。
母国フィンランドの『Turun Sanomat(トゥルン・サノマット)』紙から、ああいうちょっとしたおふざけをやってみせるつもりはなかったのかと質問されたキミ・ライコネン(フェラーリ)は、「まじめに答えたほうがいいかな?」と答えると、次のように続けた。
「これはF1なんだ。サーカスではなくてね。みんなはレースを見に来ているんだし、僕たちにできることはそれだけだと思っているよ。こういうこと(セッション遅延)が起きることだってたまにはあるんだ」
「誰だって自分がやりたいことをすればいいし、僕はそれに口をはさむつもりはない。だけど、僕の選択は違うんだ。さっきも言ったけれど、僕たちはサーカスをやっているわけじゃないからね」
フェラーリのチーム代表を務めるマウリツィオ・アリバベーネも、ライコネンのコメントを擁護し、次のように語った。
「我々はF1なんだ。シルク・ドゥ・ソレイユ(カナダのエンターテインメント集団)じゃなくてね。我々(フェラーリ)がああしたショーをやることはないよ」
「だが、我々は土曜日に、車いすに乗った障害を持った子供たちを我々のガレージに招いていたんだよ」
そう語ったアリバベーネは、次のように付け加えた。
「それがテレビで紹介されることはなかったが、少なくとも彼らには特別なことをしてあげられたよ」