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グロージャン、ハースF1移籍を語る「ルノーには待たされ過ぎた」

2015年09月30日(水)19:51 pm

29日(火)に、来季からF1参戦を開始するアメリカのハースF1がロマン・グロージャンと契約したことが正式に発表された。

■【まとめ】F1ドライバー契約・移籍2016

■グロージャンのハースF1は正しい選択?

グロージャンのハースF1への移籍に関しては、少し前から既定の事実であるとのニュアンスとともに報じられていた。だが、今回の移籍に関しては首をひねる者も少なくない。

確かにロータスは現在財政難に苦しめられているものの、ルノーが正式にチーム買収の意向を示し、両者がその実現に向けて「基本同意書」を取り交わしたばかりだ。

鈴鹿では資金不足でホスピタリティ施設も使えないという厳しい状況で週末を迎えながら、決勝では並み居る強豪チームを相手にグロージャンが7位、チームメートのパストール・マルドナードも8位入賞を果たすなど、クルマそのものの戦闘力は高い。それだけに、世界でも超大手の自動車メーカーがバックにつけば、来季はかなりの活躍が期待できそうだ。

■仏紙のアンケートでは58%が反対

そんなロータスにとどまらず、フェラーリとの太いパイプを持つとは言え、F1初参戦チームへの移籍を決めたグロージャンの判断は正しかったのだろうか?

グロージャンの母国であるフランスの『L’Equipe(レキップ)』が行ったアンケート調査によれば、投票した2万2,000人のうち58%が、グロージャンは誤った選択をしたと回答したという。

だが、グロージャンは、ハースF1の公式発表会後にフランスのラジオ局『RMC』に、「(ロータスの)今年の状況は楽なものとはなっていなかった」と語り、ルノーがロータス買収の基本合意書に署名する前に、すでにハースF1へ移籍する決心を固めていたのだと次のように続けた。

■ルノーの決断を待てなかったとグロージャン

「(ハースと)初めて会ったのは、もう1年も前のことなんだ。そして、モンツァ(イタリアGP/第12戦)のあたりでいろんなことが急速に動き始めた。決心したのは、シンガポールGP(第13戦)の直前だったよ」

さらに、グロージャンはフランスのテレビ局である『Canal Plus(カナル・プリュ)』にも次のように語った。

「ルノーでの挑戦も非常にいいものとなっていただろうね。だけど、実際に彼らがロータスを買収するのかしないのか、かなり長く待たされ過ぎたんだ。そして、今日時点でもまだ確定したというわけではないしね」

「残念ながら、2016年シーズンはもうそこまで迫ってきているんだ」

■フェラーリとの関係も重要な要素

グロージャンは、2016年にハースF1という身の置き所を得たことで安心しているし、将来に向けてやる気も高まっていると主張。

「そう、僕たちは新しいチームではあるけれど、フェラーリからの支援があることを見過ごしてもらっては困るよ」

「それに、彼らが本当に僕を必要としてくれているんだということを感じたんだ。それはドライバーにとってはうれしいものだからね。同時に、ロータスには不確かなことがたくさんあったし、ルノーが本当に手を差し伸べてくれるのかどうか、誰にも分からない時間が長く続いていたんだ」

「だから、今僕ははっきりと言えるよ。ハースF1という選択は僕にとって正しいものだとね」

そのグロージャンにとってハースF1への移籍を決める上で大きな要素となったのがフェラーリとの提携だろう。グロージャンは、「フェラーリとダラーラ(イタリアのシャシーメーカー)と技術パートナー契約を結んだのは非常に賢いやり方だ」と語り、次のように続けた。

「彼らは最初からすぐに競争力を示すことができるよう、最高のドライバー、最高のエンジニア、最高の対応策を持ちたいと望んでいたんだ。彼らには(資金を持ち込む)ペイドライバーがいなくてもやっていけるからね」

■ハースF1はグロージャンにとってフェラーリへの踏み台?

だが、F1関係者の中には、グロージャンがハースF1と契約したのは、これによってフェラーリとの関係を強化されることから、最終目的であるフェラーリへの近道となると考えたからだろうと見ている者もいる。

これに関し、グロージャンは次のように答えた。

「ハースF1と契約したのはフェラーリが一番大きな理由ではなかったよ。もっと大局的な見方をしているし、それを自分でも気に入っているからさ」

「でも、フェラーリのようなパートナーを頼りにできるというのはもちろんうれしいことだよ」

グロージャンは、いつかはフェラーリへ行きたいと考えていることを隠してもいない。

「先のことは後から考えるよ」

そう語ったグロージャンだが、その視線の先にはフェラーリがあることを認め、次のように続けた。

「はっきり言えるのは、エンジニア、メカニック、そしてドライバーも、誰もがフェラーリを夢見ているということさ」

「だけど、僕にはいつの日かまたルノーに戻って、フランスのチームでフランス人ドライバーとしてF1タイトルへチャレンジするという夢を見ることもできる」

「どんな可能性だってあるんだ」

■いつかはフェラーリ

「僕はこれまでずっとトタル(フランスの石油会社)の支援を受けてきたし、キャリアを通じてルノーとの関係を持っていた」

「キミ・ライコネンが去れば、僕がすぐにハースF1からフェラーリへと行けるんじゃないかなんて考えるのはまだ早すぎるよ。まずはハースF1で自分に何ができるかを示してみせないとね」

「もちろん、フェラーリだって事の進展を見守ることになるし、様子を見ていくよ。僕はF1チャンピオンになるためにF1にいるんだからね」

■喜んでナンバー1待遇を受け入れるとグロージャン

グロージャンは、ハースF1へ行くかどうかを考えながら「眠れぬ夜を過ごした」ことを認めている。だが、今では新しい道を選んだことに納得していると主張している。

さらに、29日の公式会見では、チームオーナーのジーン・ハースが明確にグロージャンに対してエースドライバーとしての働きを期待していると語ったが、グロージャンはそういうプレッシャーに負けるようなことはないと次のように語った。

「キミ・ライコネンがロータスを離れて以来、僕がチームの方向性を作ってきたんだ。だから、僕にとってそれは目新しい役割ではないよ」

「もちろん、エンストン(ロータス本部)に残っていたほうが楽だっただろうと思うよ。そこなら知らない人はしないし、知らないこともないわけだからね。だけど、ときとして人生において何か新しいことに挑戦したいと思うこともあるものさ」とグロージャンは締めくくった。

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