今シーズンもあとまだ8レースを残しているものの、先週末に行われたF1ベルギーGP(第11戦)でルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)が今季10回目のポールポジションを獲得したことにより、今年のポールポジション・トロフィーのゆくえがすでに決定してしまったことになる。
昨年から新たに設定されたこのポールポジション・トロフィーだが、文字通りシーズンを通じて一番多くポールを獲得したドライバーに贈られる賞だ。
昨年、この賞を獲得したのは、ハミルトンのチームメートであるニコ・ロズベルグだった。昨年は全19戦中ロズベルグが11回のポールを獲得、ハミルトンは7回に終わっていた。
今年はここまでロズベルグのポールはわずかに1回だけとなっており、残り8レースですべてポールポジションを獲得してもハミルトンの10回を超えることはもうできない状況だ。
早々と今季のポールトロフィー受賞を確定させたハミルトンだが、それをあまり喜んでいるようには見えない。
「ポールトロフィーはそれほどうれしいものじゃないよ。F1タイトルを取ることが目標だからね。でも、ポールを取るというのは間違いなく素晴らしいことだ」
「僕は、F1タイトルが取れるのなら、すべてのポールやポールトロフィーを捨てても構わないんだ。だけど、今年の予選の成り行きにはすごく満足できているよ。すごく進歩したからね」
メルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフも、今季のハミルトンの強さについて、その秘密は予選の強さにあると考えている。
ヴォルフは、イタリアの『Autosprint(オートスプリント)』に次のように語った。
「土曜日にもう仕事を半分済ませてしまうんだからね」
つまり、ポールポジションからスタートすることによってレースをコントロールできるチャンスが昨年よりも大きく増したことが、今季のハミルトンの高い勝率につながっているということだ。
だが、メルセデスAMGの非常勤会長を務める伝説的元F1ドライバーでもあるニキ・ラウダは、ポールを取ろうが取るまいが、今のハミルトンは「手が付けられない」状態だと次のように主張した。
「ニコだって必死に頑張っているよ。だけどゲームで上手を行っているのはルイスだ。彼を倒すことは無理だったと思うよ。特に、スパではね」
ラウダは、今季のタイトル争いも、ロズベルグにとっては厳しいものになるだろうと次のように付け加えた。
「もし、これからのいくつかのレースでルイスがミスを犯さなければ、ニコにとっては厳しい戦いになるだろうね」