元F1チャンピオンのミカ・ハッキネンが、先週末のF1ベルギーGP決勝後にセバスチャン・ベッテルがピレリに対して烈火のごとく怒ったことについて、その気持ちはよく分かると語った。
【結果】F1ベルギーGP決勝の順位、タイム差、周回数、獲得ポイント
ベルギーGP決勝での走行中に右リアタイヤが破裂するというハプニングに見舞われたベッテルは、現在の公式F1タイヤサプライヤーであるピレリに対し、その安全性や品質に関する強い非難を行っていた。
だが、F1関係者の中には、そうしたベッテルの言動を批判する者もいる。その中には、例えば、伝説的元F1ドライバーであるニキ・ラウダや、かつてのF1チームオーナーであるエディ・ジョーダンなども含まれている。
■スパでのパンクは本当に危険
だが、かつてマクラーレンで2度F1チャンピオンに輝いたハッキネンは、次のように語った。
「ああいう状況において、ドライバーがああいう反応を示すことは理解できるよ。特にスパだからね。あそこは本当に高速だし、パンクは本当に危険なことなんだ」
「ドライバーのパフォーマンスのうち80%はメンタルな強さなんだ。だからこういうことが起こり、自信を持って走ることができなくなればラップタイムだって落ちてしまうからね」
そう語ったハッキネンは、自分の経験を思い起こしながら、次のように続けた。
「(スパでの)1997年のフリー走行を思い出すよ。僕はオー・ルージュを抜け、ケメルストレートに入っていた。そうしたらほぼ時速330kmで走行中に突然サスペンションが壊れてしまったんだ。ああいうことが起きるまでは、自分がどれほど速く走っているのかなんて忘れているからね」
■今後、タイヤセットごとに最大周回数設定も?
一方、ピレリでは、今でもベッテルのタイヤ破裂に関して、その本当の原因の調査分析を進めていると考えられている。だが、ここまでのところ、ピレリでは、フェラーリが1回ストップという作戦をとり、タイヤの限界を超えて走行させたことがその最大の原因であるとの見解を示している。
F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)の広報責任者であるマッテオ・ボンチアーニは、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に対し、次のように語っている。
「その原因がまだ完全に究明されていないというのが事実であり、それが懸念を生むこととなっている」
「我々はその原因を探るために、フェラーリやピレリと頻繁に連絡を取り合っている。そして、必要であれば、何らかの対策を実行に移すことに合意する用意がある」
ボンチアーニが言及した「対策」とは、ピレリが提唱しているタイヤセットごとに最大周回数を設定し、それを各チームに守らせるという案のことだ。
「そうだ」と認めたボンチアーニは、次のように付け加えた。
「もし我々の共同調査の結果、それが効果的だと示されればね」