FIA(国際自動車連盟)のF1競技委員長であるチャーリー・ホワイティングが、先週末のF1ベルギーGP(第11戦)において、マクラーレン・ホンダが最近のエンジンルールの変更をうまく利用したと語った。
今年は1人あたりのドライバーが年間に使用できるエンジンとその関連コンポーネントはそれぞれ4台までと決められており、それに違反すると相応のグリッド降格ペナルティーを受けることになる。
だが、そのルール自体がかなり複雑な上、ペナルティーがかなり厳しすぎるのではないかというファンからの不満の声も多かった。こうした事態を受け、統括団体であるFIAも、ペナルティーの科し方についてルールの見直しを行っていた。
以前のルールでは、規定以上の数のエンジンコンポーネントを使用するに至った場合には、それに応じたグリッド降格ペナルティーが与えられ、もしも実際の予選結果においてそのペナルティー分の降格ができない場合には、レース中にタイム加算やドライブスルーペナルティーなどが別途上乗せされることになっていた。
しかし、新たなルールでは、そうした追加ペナルティーは科されないこととなったため、どれほど多くのグリッド降格に該当しても、決勝で最後尾からスタートすること以上の罰則は与えられなくなっていた。
実際、マクラーレン・ホンダはベルギーGPにおいてフェルナンド・アロンソとジェンソン・バトンの両方のドライバーがそれぞれ6台目、さらには7台目のエンジンコンポーネントを搭載。これにより、2人のペナルティーを合計すると、何と105グリッド降格という処分に匹敵する事態となっていた。だが、もちろんスパ・フランコルシャンでは、最後尾スタート以上のペナルティーが科されることはなかった。
マクラーレンの最高執行責任者であるジョナサン・ニールは、シーズン後半に向けて「より順調に走行ができるよう、つかえるエンジンを増やしておこうという作戦だった」と認めている。
マクラーレン・ホンダは、新しく変更されたルールを悪用したのではないかとの質問を受けたホワイティングは、『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように答えた。
「FIAでは、こういう作戦をとるチームがでるのではないかとの懸念をストラテジー・グループ(F1有力チームによる意思決定機関)に打診していたんだ」
「だが、ほとんどの関係者が、レース中に追加のペナルティーを科すという当時のペナルティーシステムのほうが、F1にとってはさらに有害なものとなるのではないかとの批判的意見のほうが多いという印象を得ていたよ」
そう語ったホワイティングは、次のように付け加えた。
「もちろん、あのルールは誠実に作成されたものであり、ホンダがやったようなことを勧めるために設けられたわけではないがね」