財政的苦境に立たされ、ルノーへのチーム売却をもくろんでいるロータス。しかし、ルノーがその決断を先延ばしにし、新たにフォース・インディアの買収の可能性についても検討と始めたと伝えられており、ロータスに残された時間も尽きそうな状況だ。
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■資産差し押さえが報じられたロータス
先週末のF1ベルギーGP以後、スイスの『Blick(ブリック)』紙を始め多くのメディアが報じたところによれば、F1カーを含むロータスチーム所有の資産が裁判所命令によって差し押さえられたという。これは、かつて控えドライバーを務めていたシャルル・ピックが起こした訴訟によるもので、ピック側は75万ユーロ(約1億円)の賠償金を請求していると伝えられている。
当然ながら、ルノーにとってのロータス買収のメリットは、チームが所有する資産をそのまま買い受けることですぐに活動を開始できるところにある。資産が裁判所から差し押さえられた状態では買収交渉をストップせざるを得ないのも無理からぬところだろう。
『Telegraph(テレグラフ)』は、ロータスのチーム副代表であるフェデリコ・ガスタルディが、オーナーのジェラルド・ロペスとともに局面の打開に向けて動いていると伝えている。
また、『Times(タイムズ)』は、「ロータスの経営陣はピックとの和解に向けて弁護士たちと24日(月)に交渉を行ったものの、財政的なプレッシャーがさらに高まっているのは確かだ」と報じている。
■いまだ成り行き不透明なルノーとレッドブル
ルノーがロータス買収の決定を遅らせ、フォース・インディアの買収も視野に入れ始めたのは、現在エンジンを供給しているレッドブルとの契約問題も絡んでいるのではないかと見られている。
レッドブルとルノーの間には2016年までの供給契約が締結されているが、レッドブルでは今季限りでその契約を破棄したいと考えているとうわさされている。
だが、スペインの『AS』は、ルノーはレッドブルに対し、現在の契約を守るよう主張するとともに、もしも契約を破棄するのであれば4,000万ユーロ(約55億円)の違約金支払いを求めていると書いている。
レッドブルにとって、ルノーとの契約破棄で生じる損害はそればかりではない。レッドブルでは現在ルノー傘下にある日産のブランドである「インフィニティ」がタイトルスポンサーとなっている。仮にレッドブルがルノーとのエンジン供給契約を破棄すれば、インフィニティもレッドブルから去るのは明白であり、そうなればレッドブルの損害は最大8,000万ユーロ(約110億円)に及ぶことになると見られている。
■フォース・インディア買収も視野に入れるルノー
ともあれ、ルノーでは次のステップへと踏み出す準備を進めているようだ。ルノーのアンバサダーを務める元F1チャンピオンのアラン・プロストは、スパ・フランコルシャンにおいてフォース・インディアとの交渉も開始したことを認めている。
プロストは、フランスの『Canal Plus(カナル・プリュ)』に次のようなコメントを行っている。
「我々は状況の分析作業を進めているところだ」
「決定は少し遅れることになるだろうが、9月には決まるだろう。状況は絶えず変化していると思っているし、この2、3日の動きだけを知っているとしても、それ以上のことは言えないよ」
そう語ったプロストは、次のように付け加えた。
「もう少し待つ必要がある」